冬のボーナスで住宅ローンの繰り上げ返済を計画する人も多いでしょうが、現在の超低金利の中では、繰り上げ返済でローン残高を減らさないほうがいいケースがあります。住宅ローン控除で損をする可能性があるからです。繰り上げ返済を考えているなら次の3つのポイントをまず確認してみてはいかがでしょうか。
ポイント1 住宅ローン控除の借入限度額を超えるローン残高あるか?
住宅ローン控除の対象になるローン残高には上限があるため、控除の対象にならないローン残高は、資金に余裕があればなるべく減らしておくのが得策です。
控除の上限は2022・2023年に入居する長期優良住宅などの認定住宅の場合が5,000万円、一般住宅で3,000万円です。
つまり、一般住宅を取得した人のローン残高が4,000万円あったとしても、3,000万円分しか住宅ローン控除の対象にならないのです。
ポイント2 控除可能額より所得税・住民税が多いか?
住宅ローン控除では年末の住宅ローン残高に対して所定の控除率をかけた金額が、所得税と住民税の一部から差し引かれるため、支払った税額から控除対象になる住宅ローン残高を計算して、その金額までは繰り上げ返済するとよいでしょう。
なお控除率は2021年までに入居したケースで1.0%、2022年以降に入居すると0.7%ですが、注意が必要なのは、自分が支払った税額以上には控除できない点です。
たとえば、ローン残高3,000万円で控除率0.7%なら21万円がその年支払った税額から差し引かれます。しかし、支払った税額が21万円未満であれば、戻ってくるのは支払った分までです。
ポイント3 住宅ローン金利が控除率より上か下か?
現在適用されている住宅ローン金利が住宅ローンの控除率以下なら、繰り上げ返済は住宅ローン控除期間終了後にしたほうが有利です。
なぜなら、ローンの金利が控除率より低い場合は「(控除率-ローン金利)×ローン残高」相当額が利益になると考えられるからです。たとえば、ローン残高3,000万円、控除率が0.7%でローンの金利が0.5%であれば、6万円が利益になるわけです。
ここであえて繰り上げ返済をして残高を減らすと、住宅ローン控除できる金額も減ってしまいます。余裕資金は将来のために貯めておき、住宅ローン控除が終わってからまとめて繰り上げ返済をするとよいでしょう。
住宅ローン金利が控除率より高い場合は、繰り上げ返済をして利息を減らします。
繰り上げ返済は年明けに行う
住宅ローン控除は年末のローン残高をもとに控除額が決まります。そのため、繰り上げ返済をする場合は、年が明けてから行いましょう。
少しでも利息を減らしたいからとボーナスをもらってすぐに繰り上げ返済をすると、住宅ローン控除の還付金が減ってしまいます。
文・松田聡子(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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