新海誠監督の3年ぶりの新作アニメ『すずめの戸締まり』が東宝系で11月11日に公開された。人の心の消えたさびしい場所に「後ろ戸」は開く。後ろ戸からは「災い」が出てくる。日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる「扉」を閉めていく少女・すずめの、解放と成長を描く現代の冒険物語だ。株式市場でも公開前から注目が集まっている。

株式市場で期待の本命は東宝　コラボ、タイアップ期待の関連銘柄も

『すずめの戸締まり』の公開が正式発表されたのは2021年12月15日だった。2016年公開『君の名は。』、2019年公開の『天気の子』と大ヒットで株式市場を賑わせた新海誠監督の3年ぶりの新作なだけに、発表日翌日の配給元の東宝 <9602> の株価は、公開はまだかなり先なのにもかかわらず、3.4％高の5,200円と買われたことが期待の表れだ。

関連銘柄としては、製作委員会に参加している企業、コラボCM、タイアップ商品を提供している企業に注目だ。

『すずめの戸締まり』の製作委員会は、東宝、KADOKAWA <9468> 、JR東 <9020> 、ローソン <2651> 、アニプレックス（ソニー <6758> 系）などだ。コラボCM、タイアップ先では、ローソン、KDDI <9433>、ミサワホーム <1722> 、日本マクドナルド <2702> などが期待だ。映画が大ヒットすれば、タイアップ商品の売り上げ増で関連銘柄探しが始まるだろう。

新海監督の過去作品動向　興行成績は業績、株価に影響

新海誠監督のアニメ映画は、2016年公開の『君の名は。』は250億円、2019年公開の『天気の子』は141億円の興行収入だった。

歴代の国内アニメ映画の興行収入ランキングでは、『君の名は。』は4位で（『鬼滅の刃』『千と千尋の神隠し』『アナと雪の女王』につぐ）。『天気の子』は9位に位置している（2022年10月末時点）。

映画の大ヒットは、映画配給会社の業績と株価に直結する。『君の名は。』の公開は2016年8月。東宝は2017年2月期に営業利益502億円と当時の史上最高益を更新した。

株価は2017年9月に当時の過去最高値4,190円をつけた。『天気の子』の公開は2019年7月。2020年2月期に営業利益528億円と当時の過去最高益を更新した。株価は期待で買われ2019年6月に4,915円と過去最高値を更新した。『君の名は。』での株価の動きが鮮明だっただけに、『天気の子』では株価は公開前に期待感から高値をつけた。

『すずめの戸締まり』は100億円超えなるか？

近年、興行収入が100億円を超えるアニメ映画が増えている。 2020年は『鬼滅の刃』が404億円、2021年は『呪術廻戦』が137億円、『シン・エヴァンゲリオン』が102億円、2022年は『ワンピース フィルム レッド』が180億円だ。

SNS、YouTube、前作・関連作の無料動画配信などのメディアミックスで、幅広くマーケティングを展開しているため話題になりやすい。グッズや商品とのタイアップなども相乗効果をもたらしている。

映画では最初の週末の興行収入が話題になる。ある程度のヒットが予測できるからだ。『君の名は。』は最初の週末（3日間）が12億円で最終的に250億円。『天気の子』が16億円で最終的に141億円だった。

『すずめの戸締まり』、東宝新宿の11月11日初日の上映回数は複数のシアターを使い、32回上映の予定。『天気の子』は1日23回ほどだった。最初の週末は『天気の子』を上回る可能性もありそうだ。

ちなみに、2022年最大のアニメ映画ヒット作の『ワンピース フィルム レッド』は最初の週末（2日間）が22億円で11月に入り180億円を突破した。『すずめの戸締まり』が100億円超えとなるか、まずは最初の週に注目したい。

文/編集・dメニューマネー編集部
画像・© 2022 すずめの戸締まり製作委員会

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