株価は11月から12月の年末にかけて上昇する傾向がある。日経平均は過去10年では7割の確率で10月末から12月の年末に向けて上昇した。なぜ年末に株価が上がるのだろうか?今年も期待していいのだろうか?
12月に向けて株価が上がる「掉尾の一振」アノマリー
日本の株式市場には、「掉尾の一振(とうびのいっしん)」というアノマリーがある。株式市場には季節性があり、日経平均は年末高が期待出来るということだ。
アノマリーとは、ハッキリとした理由はわからないが、規則性をもって繰り返されることが多い株式市場の値動きの経験則である。「掉尾の一振」の「掉尾」というのは「最後」という意味だ。もともとは「魚が死ぬ前に尾を振ること」から「物事の最後で勢いが盛んになること」という意味で使われたフレーズだ。株式市場では「年末に向けて市場の勢いが盛んになる」という意味の格言である。
日経平均に月毎の騰落の差というアノマリーがあるのは、東証の過去の月間平均の騰落率をみるとハッキリしている。上昇率の高い月と低い月が明らかに存在する。上昇率が高い月は、1月、3月、11月、12月がトップ4だ。当然、10月末から12月末のパフォーマンスは期待できるワケだ。
似たようなフレーズとして、「年末ラリー」「餅代稼ぎ相場」とい言うものある。いずれにしても年末の株高を表す言葉である。面白いのは米国でも同じようなアノマリーがあることだ。米国では「ハロウィーン効果」「クリスマスラリー」などと呼ばれている。
過去10年の10月末から12月末にかけての勝率は7割
過去10年の10月末から12月末にかけての日経平均の動きは、7勝3敗で勝率は7割と高勝率を記録している。平均で6.0%の上昇である。3ヵ月で10%以上の上昇を見せたことが3回もあるのは明らかに高パフォーマンスと言えるだろう。
日経平均 10月末〜12月末のパフォーマンス | ||||
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年 | 10月末 | 12月末 | 騰落率 | 勝敗 |
2012 | 8,928.29 | 10,395.18 | 16.4% | ○ |
2013 | 14,327.94 | 16,291.31 | 13.7% | ○ |
2014 | 16,413.76 | 17,450.77 | 6.3% | ○ |
2015 | 19,083.10 | 18,562.51 | -2.7% | × |
2016 | 17,425.02 | 19,114.37 | 9.7% | ○ |
2017 | 22,011.61 | 22,764.94 | 3.4% | ○ |
2018 | 21,920.46 | 20,014.77 | -8.7% | × |
2019 | 22,927.04 | 23,656.62 | 3.2% | ○ |
2020 | 22,977.13 | 27,444.17 | 19.4% | ○ |
2021 | 28,892.69 | 28,791.71 | -0.3% | × |
2022 | 27,587.46 | |||
平均 6.0% 7勝3敗 |
さらに重要なポイントは年間高値をつけた日だ。2013年12月30日、2014年12月8日、2016年12月21日、2017年11月9日、2019年12月17日、2020年12月29日と、10年のうち11月から12月にその年の高値をつけたことが6回あり、うち5回が12月である。12月29日、30日の最終週に年初来高値をつけたことも2回ある。年末高は確かにアノマリー通りなのだ。
なぜ年末に株高になるかは、ハッキリとした根拠はない。年内で節税対策の損出しの株の売りが終わるので年末高になりやすいとの見方、米ヘッジファンドは11月決算が多いのでヘッジファンドの換金売りが10月に一巡し反動で年末高になるとの見方などが有力だ。
2022年12月はどうなる? 過去平均の上昇率なら日経平均2万9,242円
2021年は0.3%安と小幅に下げたが、コロナ禍での2020年の19%の上昇は「コロナバブル」とも言えるくらいのインパクトを残したことは記憶に新しい。アノマリーはあくまで経験則で今年も当たるとは限らない。ただ、10月安値の反動高ならば今年の年末高は期待できそうだ。平均の6%上昇なら2万9,242円になる。
文/編集・dメニューマネー編集部
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