「病気やケガで働けなくなったら解雇されても仕方ない」──そう思っている人もいるでしょうが、決してそんなことありません。解雇は簡単にできるわけではなく、法律による制限があります。解雇を言い渡されても無効になる場合があるのです。
業務災害なら「療養中+30日間」は解雇できない
いわゆる労災が原因で働けないなら、療養で休む間とその後30日間、会社は基本的に従業員を解雇できません。たとえば工場での作業中や営業活動中にケガをしたときなどです。
しかし例外的に解雇できるのは、「療養開始から3年経過後、企業が打切補償を払った場合」です。3年経ったら、平均賃金の1,200日分を打切補償として企業が支払うと解雇できます。
「私傷病休職制度」があるなら即時解雇は原則できない
「休暇中などにケガをして会社を休んだらどうなるんだろう」と心配なら、会社に私傷病休職制度がないか確かめておきましょう。
私傷病が原因で休んだとき、職場に「私傷病休職制度」があるのなら、会社は解雇前に制度を従業員に適用する必要があります。休職制度を使わずに解雇を言い渡しても基本的に無効です。
多くの会社では私傷病休職制度があるので、もしものときのために、勤務先の制度を確認しておきましょう。
また、私傷病休職制度がなくても、病気やケガでわずかな期間、働けないだけでは従業員をクビにできません。解雇が有効になるのは、ある程度の期間にわたって仕事ができない状態にあるときです。
解雇ではなく配置転換で対応できないか、会社は検討しなければいけない
さらに、職務を限定せず採用されている人なら、解雇ではなく配置転換で対応できないか、企業が検討する必要があります。ケガの影響で作業現場での重労働が難しくても、負担の軽い事務作業への転換を会社が提案していないなら、解雇は無効の可能性が高いです。
病気やケガを理由とした解雇は無効になることが少なくありません。もしものとき、会社から解雇を言い渡された場合は、労働関係に詳しい専門家に相談しましょう。
文・大垣秀介(マネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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