株式指数などに連動しつつも、その基準となる“指数以上”の利益が出るように作られた「ブルベアファンド」(ETF含む)。相場が上がっていても下がっていても、使い方によっては大きなリターンが狙えることから、人気を集めていますが、特に初心者に向けて金融庁が注意喚起しています。なぜでしょうか。
「ブル型」と「ベア型」のファンドが人気なのはなぜ?
ブルベアファンドがどれほど人気かというと、大手ネット証券の投資信託の販売金額ランキングでブルベアファンドはランキング上位の常連になるほどです。
たとえば「iFreeレバレッジ NASDAQ100」(レバナス)の純資産総額は1500億円ほどで、日本で販売されている公募投信は5000本以上といわれる中で、上位100位以内に入っています。
そもそもブルベアファンドは、「ブル型」と「ベア型」の総称です。ブルとは雄牛のことで強気を意味します。雄牛が角を上へ突き上げる仕草から相場が上昇していることを指し、相場が上昇したときに、基準となる指数の“値上り幅以上に”利益が出るように作られています。
ベアは熊・弱気を意味し、熊が前足を振り下ろすところ、あるいは背中を丸めている姿から相場が下落していることを指し、ブルとは逆に相場が下落したときに指数の“値上り幅以上に”利益が出るように作られています。
仕組みが複雑でハイリスク・ハイリターン
投資初心者に注意喚起が呼びかけられている理由は、そのリスクの高さです。
そもそもこれらの商品が指数以上の利益を目指せるのは、レバレッジがけられるからです。たとえば、レバレッジが2倍に設定されたファンドであれば、指数が5%上昇すれば、10%の値上がり益を期待できるわけですが、逆に損失も2倍になる可能性があります。
またブルベアファンドは「先物・オプション取引」を使って商品が作られています。この複雑な仕組みをしっかり理解するのは投資初心者には難しいと言えます。「仕組みが分からない商品に手を出さないほうがいい」という意見はもっともでしょう。
ブルベアファンドは信託報酬が高い
ブルベアファンドの注意点として、その複雑な仕組みを維持するために信託報酬が高いということもあります。
最近では、インデックスファンドを中心に信託報酬がどんどん引き下げられていますが、ブルベアファンドは、1%を超えるような高い額が設定されています。
それでも買うなら短期売買向け?
これらを踏まえて、それでもポートフォリオに入れるとしても、長期投資をするのは難しいと考えたほうがよいでしょう。
ブルベアファンドは仕組み上、一定の範囲内で価格が上下を繰り返すと基準価額はどんどん下落します。そのため、長期間保有し続けてコツコツと資産を増やしていくには不向きと言えます。
ブルベアファンドは、主に短期売買によって利益を得ることを目的とした金融商品と考えるべきで、投資の初心者が資産形成のために始めるのには不向きな商品と言えるでしょう。
文/編集・dメニューマネー編集部
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