自転車通勤なのに電車通勤と嘘をついて交通費をもらった場合や、職場の近くに引っ越したのに会社に伝えず高い定期券代をもらった場合、バレたら解雇されるのでしょうか。それとも、悪いことではあるものの処分としては重すぎるので、解雇無効を主張できるのでしょうか。
「通勤交通費を不正に受給した」だけでは解雇理由にならない
通勤交通費の不正受給による解雇が有効かどうかを裁判所が判断する場合は、金額の多寡や隠蔽工作の有無、回数や期間など、悪質性を総合的に考慮して判断するケースが多いです。
不正に受け取ったというだけでは、会社は従業員を解雇できません。住所変更をうっかり会社に伝え忘れた場合のように、悪意がないなら解雇は無効でしょう。
不正受給額が200万円と高額で、悪質と見なされた事例では解雇有効の判決が出ましたが、4年以上にわたって定期代35万円を不正受給した社員の解雇が無効になった判例もあります。
不正に受給した額の返還を求められる
不正受給がバレると、一般的に会社から返還を求められます。本来もらう権利がないお金を不正に受け取った場合は、当然ながら従業員は返還しなければなりません。会社が返還を請求できる期間(時効)は、原則として10年以内です。
会社から返還を求められたのに応じないと、反省しておらず悪質と判断され、解雇の有効・無効を裁判所が判断する際にマイナスに働くことがあります。返還請求には素直に応じ、お金がなくてすぐに返せない場合は、その旨を会社に伝えて交渉しましょう。
解雇にならなくても減給や降格になる可能性も
減給処分なら、会社は従業員の月給を最大10%減額できます。10%を超える減額は労働基準法違反です。しかし減給処分ではなく降格処分の場合は、降格して結果的に給料が10%超減っても法律上問題ありません。そのため、給料が大きく減る場合があります。
「少しくらいならよいだろう」と安易に不正に手を染めると、思いもよらぬ結果を招くかもしれません。通勤交通費は不正をせず、正しく申請して受け取りましょう。
文・大垣秀介(マネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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