親が元気だと、もしものことなど考えもしないだろうが、相続の話はあらかじめしっかりとしておいたほうがいい。そうすることで、親の死後、悲惨な相続争いを回避できる。しかしながら、親に相続の話をするのに抵抗を感じている人も多いだろう。親の終活で子供、つまり自分が損するケースと一緒に、相続の話をスムーズに切り出す方法を見てみよう。
親に話しづらい「相続の話」をスムーズに切り出すコツ
親が元気なうちに相続の話をしておくことは大切だが、いきなり遺産の話を切り出すのは、なかなか難しいものだ。自然に話を切り出すためのコツがある。
自分自身の将来の話を切り出す
親の遺産の話ではなく、あくまで子供と自分の将来について話すという方法がある。
自分の子供(つまり孫)の進学や、自分の転職・退職後のプランなどの人生設計について持ち出すのだ。
いくつになっても親にとっても子供は子供。相続の話は親本人の人生の終方の話ではあるが、子供にとっても大きく影響する。そこに思いいたれば、前向きに話題にしてくれるかもしれない。
たとえば「退職をきっかけに今後の人生について見直したいので、相続のことも含めて話し合いたい」など、ストレートに話してみてもよい。
この際、人生の終末について記す「エンディングノート」を活用するのも一つの手だ。自分のエンディングノートを親に見せ、「自分のこれからを考えるために作成した」と話したうえで、親にもノート作成をすすめる。
エンディングノートのメリットは、相続がスムーズになるだけではない。親がこれからの人生をどう過ごしたいのかを考えるきっかけにもなる。
親の終活で子供が損するケース
親がはやばやと“終活”をして相続対策をしておいてくれれば、「いざ相続となったときに楽なのでありがたい」と思われがちだが、そうとは限らない。終活を親に任せきりにすると、「相続で払うべき税金が増える結果になった」など、あとで子供が困るケースがある。
生前贈与が否定されると相続税がかかる
生前に親からもらった物でも、親が亡くなって相続が起きた時に税務署から生前贈与を否定されて、相続税がかかることがある。
単に親から“預かったもの”と見なされると、それは親の遺産の一つとして相続税の対象になるからだ。
税務署から疑われないように、生前贈与をする場合は贈与契約書を作成しよう。
親の終活は、親が残りの人生をどう生きるかを決めるだけでなく、残される家族の生活や関係にも大きな影響を与える。
親が終活を始めるなら、そうした点も理解してもらえるよう、兄弟など家族を含めて話し合ったほうがいいかもしれない。
生前贈与で贈与税の申告を忘れると罰金が課される
終活で財産を整理する中で、親がいらない財産を子に贈与した場合(生前贈与)、その財産額が年間110万円を超えると贈与税がかかるが、申告を忘れると罰金が課される。
贈与額が150万円なら贈与税4万円がかかり、申告を忘れて無申告加算税が税率15%で課された場合は、4万円×15%=6,000円の罰金がかかる。さらに延滞税も払わなければいけない。
この場合、贈与税の申告を子が自分でするか、贈与する財産の額を年間110万円以内に抑えてもらおう。
文/編集・dメニューマネー編集部
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