親がはやばやと“終活”をして相続対策をしておいてくれれば、「いざ相続となったときに楽なのでありがたい」と思われがちですが、そうとは限りません。
終活を親に任せきりにすると、「相続で払うべき税金が増える結果になった」など、あとで子供が困るケースが3つあります。
ケース1 生前贈与で贈与税の申告を忘れると罰金が課される
終活で財産を整理する中で、親がいらない財産を子に贈与した場合(生前贈与)、その財産額が年間110万円を超えると贈与税がかかりますが、申告を忘れると罰金が課されます。
贈与額が150万円なら贈与税4万円がかかり、申告を忘れて無申告加算税が税率15%で課された場合は、4万円×15%=6,000円の罰金がかかります。さらに延滞税も払わなければいけません。
この場合、贈与税の申告を子が自分でするか、贈与する財産の額を年間110万円以内に抑えてもらいましょう。
ケース2 生前に財産をもらい過ぎると不満を持った親族から訴えられる
親が生きている間に財産をもらえば、相続税がかかる遺産が減るため節税になりますが、兄弟や家族・親族など、他の相続人が不公平だと主張して揉める可能性があります。
法律で、「相続人は遺産を最低限これだけは受け取れる」という最低ラインが決まっています。この権利を遺留分と呼びます。
例えば相続人が子供3人の場合、遺産のうち最低限6分の1を相続する権利がそれぞれあるのに、生前に自分だけ先んじて財産の一部をもらうと、この遺留分の“侵害”にあたるかもしれません。というのも、相続では、親が死亡した時点の遺産だけでなく、生前贈与した財産も考慮して計算されるからです。
生前贈与を受ける場合、他の相続人に渡る財産が遺留分以上になるか、しっかり計算をしてもらいましょう。
ケース3 生前贈与が否定されると相続税がかかる
生前に親からもらった物でも、親が亡くなって相続が起きた時に税務署から生前贈与を否定されて、相続税がかかることがあります。単に親から“預かったもの”と見なされると、それは親の遺産の一つとして相続税の対象になるからです。
税務署から疑われないように、生前贈与をする場合は贈与契約書を作成しましょう。
親の終活は、親が残りの人生をどう生きるかを決めるだけでなく、残される家族の生活や関係にも大きな影響を与えます。親が終活を始めるなら、そうした点も理解してもらえるよう、兄弟など家族を含めて話し合ったほうがいいかもしれません。
文・大垣秀介(マネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
(2022年6月27日公開記事)
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