【お金のクイズ】モノの値段が上がり、お金の価値が下がる現象を何という?

2021/09/18 14:40

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連載「お金のクイズ」第2問 ニュースでよく登場する経済用語に「インフレ」と「デフレ」がある。聞いたことがあって何となく分かっていても、意外と説明できないのではないだろうか。 前回・第1問はこちら クイズ1:モノの値段が上がり、お金の価値が下がる現象をなんという? 「モノの値段が上がり、お金の価値が下がる現象」を専門用語

連載「お金のクイズ」第2問

ニュースでよく登場する経済用語に「インフレ」と「デフレ」がある。聞いたことがあって何となく分かっていても、意外と説明できないのではないだろうか。

前回・第1問はこちら

クイズ1:モノの値段が上がり、お金の価値が下がる現象をなんという?

「モノの値段が上がり、お金の価値が下がる現象」を専門用語でなんというだろうか。回答の選択肢は次の3つ。

① インフレ
② デフレ
③ スタグフレーション

これは分かったかもしれない。正解は①の「インフレ(インフレーション)」だ。ただ「モノの値段が上がる」ことは理解できても、「お金の価値が下がる」がどういうことか説明できるだろうか。

インフレ状態では100円の商品の価格が105円、110円と上がっていく。そうすると、過去に100円で買えた商品が100円では買えなくなってしまう。

分かりやすい例として価格が2倍になったとしよう。昨日100円だったパンが今日200円になってしまったケースを考えてみてほしい。昨日は100円でパンが1個買えたのに、今日は100円硬貨を2枚出さなければパンが買えないということだ。つまり、今日100円硬貨を1枚出しても、半分のパンしか買えない計算になる。これは昨日より今日、お金の価値が下がっているということと言える。

これは預貯金で銀行などに預けているお金も同じだ。いきなりパンの価格が倍になることはなくても、少しずつ、気づかないうちモノの値段が上がっていくにつれ、持っている現金の価値は少しずつ下落しているということになるのだ。老後の生活資金のことを考えると、インフレは痛い。

逆にモノの値段が下がり、お金の価値が上昇する現象を「デフレ(デフレーション)」と呼ぶ。デフレが続けばお金の価値が上がるため、預貯金の価値は将来的に上昇する。老後の生活資金のことだけを考えるなら、デフレは歓迎だ(詳しくは後述するが、デフレによる悪影響もある)。

ちなみに③のスタグフレーションは、経済活動の停滞(スタグネーション)と物価の上昇(インフレーション)が同時に起こる現象を指す。

クイズ2:なぜ「デフレ」は悪者扱いされるのか?その理由とは

2問目は、先ほど登場した「デフレ」について。日本ではデフレが続いており、政府と日銀はデフレ脱却を目指している。なぜデフレは政府と日銀によって悪者扱いされているのか。その理由を考えてみてほしい。

① デフレで物価が下がることで、消費税の税収が減るから。
② 物価が下がるデフレは景気の悪化を招きやすいから。
③ デフレでお金の価値が上がることで、富裕層ほど有利になるから。

少し難しくなってきたが、いかがだろう。正解は②。物価が下がるデフレは景気の悪化を招きやすいからだ。

ある商品が1万個売れるとしよう。元々その商品の価格は1,000円だった。しかしデフレでなかなか売れず、価格を1個につき100円値下げして900円にしたとする。するとその商品をつくったメーカーの売り上げは、100万円減ってしまうことになる。

そもそも売れないから値段を下げたのに、値段を下げたおかげで売り上げが落ちてしまったことになる。そうして企業の経営状況が悪くなり、それが進むと給料を下げなければいけなくなることもある。

このような状態が続くことを「デフレ・スパイラル」と呼び、こうした状況に歯止めをかけるため、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」でもデフレ脱却が掲げられたが、いまだに日本はデフレから脱却できていない。

クイズ3:円安で業績が良くなるのは、「輸出会社」と「輸入会社」のどっち?

経済の仕組みを知る上で知っておきたいほかの経済用語としては、「円安」と「円高」がある。現在、ドル円は円安傾向だが、円安になると業績が良くなる企業は輸出会社と輸入会社のどちらだろうか。

① 輸出会社
② 輸入会社

これは円高と円安がどういう状態なのかを考えれば分かるかもしれない。正解は①の「輸出会社」だ。

円とドルを比べる場合、ドルに対して円の価値が下がれば円安、ドルに対して円の価値が上がれば円高となる。

円安が進んで、1ドルが100円から120円になったときのことを考えてみよう。商品を輸出する会社が輸出先で商品を1ドルで購入してもらえば、日本円に換算すると、円安が進む前は100円、円安が進んだあとだと120円が手に入ったことになる。つまり輸出会社は円安が進んだことで1個の商品につき20円得をしたことになり、業績はよくなるのだ。

一方で、円安が進むと輸入会社の業績には悪影響が出る。円安が進む前は1ドルの商品を100円で購入して輸入できたが、円安が進むと120円が必要となるからだ。また、逆に円高が進んだ場合は輸出会社の業績が悪化し、輸入会社の業績が良くなる。

円安円高
1ドル100円→1ドル120円1ドル100円→1ドル80円
※円の価値が上がったように見えるが、1万円をドルに両替すると、「1ドル100円」のときは100ドル、「1ドル120円」のときは83.3ドルしか手に入らず、「1ドル120円」のときの方が円安であることが分かる。 ※円の価値が下がったように見えるかもしれないが、1万円をドルに両替すると、「1ドル100円」のときは100ドル、「1ドル80円」のときは125ドルが手に入り、「1ドル80円」のときの方が円高であることが分かる。


文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部

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