「帝国ホテルに住める」なら1ヵ月36万は安い?ホテルを別宅にする新トレンド

2021/07/23 05:00

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帝国ホテルは、ホテルオークラやホテルニューオータニと共に「御三家」とも呼ばれる高級ホテルです。高級ホテルの代名詞とも言える帝国ホテルに「1ヵ月36万円で住める」と聞いたら、どう感じるでしょうか。 帝国ホテル 東京(以後、帝国ホテル)がサービスアパートメント事業に参入し、予約が殺到したのは記憶に新しいところです。衆議院議

帝国ホテルは、ホテルオークラやホテルニューオータニと共に「御三家」とも呼ばれる高級ホテルです。高級ホテルの代名詞とも言える帝国ホテルに「1ヵ月36万円で住める」と聞いたら、どう感じるでしょうか。

帝国ホテル 東京(以後、帝国ホテル)がサービスアパートメント事業に参入し、予約が殺到したのは記憶に新しいところです。衆議院議員の丸山穂高氏が議員特権の「文通費」(国会議員に毎月100万円支給される資金。使途の公開義務がない)で予約したことも話題になりました。

「帝国ホテルに住める」サービスアパートメントとは?

帝国ホテルが2月1日から予約受付を始めた『帝国ホテル サービスアパートメント』ですが、既に予約は完売し、3月15日から入居が開始されています。タワー館の客室3フロアの一部を改修し、99室を用意したとのことです。

「サービスアパートメント」とは、ホテルのようなサービスがついていて、アパート・マンションのように契約して住める施設のことを指します。つまり、帝国ホテルの一流のサービスを受けながら、マンションのように住むことができるというわけです。

客室内にキッチンや大型冷蔵庫はありませんが、専属サービスアテンダントによる24時間対応のサービスをベースに、日々の生活に必要な食事や洗濯などはサブスクリプション方式で提供されます。

サービスアパートメント利用者専用の共同スペースでは、朝食のパンが無料で提供されるほか、洗濯乾燥機や電子レンジ、トースターなどが設置されており、自由に利用することができます。

ロビーラウンジでのコーヒー・紅茶が無料で飲めたり、ルームサービスによるサービスアパートメント利用者専用の食事メニューがあったり、サブスクリプション方式のランドリーサービスがあったり、フィットネスセンター・プール・サウナミーティングルーム・ビジネスラウンジなども無料で利用できたりします。

気になる価格は以下の通りです(レギュラーフロア)。月額は30泊を指します。なお敷金や礼金は必要ありません。

スタジオタイプ(約30平方m):月額36万円
プレミアスタジオ(約50平方m):月額60万円
コネクティングスタジオ(約34平方m+36平方m):月額72万円

決して安くない価格ですが、2月1日から予約受付が開始されたレギュラーフロアの予約受注期間(2021年3月15日~7月15日)は完売しており、2021年7月15日以降の予約受注詳細については、決まり次第アナウンスされるとのことです。

「ホテルに住む」「ホテルで働く」という新トレンド

コロナ禍による新様式で、帝国ホテルに限らず、ホテルは「泊まる」場所から「住む」もしく「働く」場所に変わりつつあります。帝国ホテルもサービスアパートメント事業の公式サイトで「HOTELiving(ホテリビング)―ホテルに住まうー」という新しい概念を提唱しています。

帝国ホテルのように「サービスアパートメント」は名乗っていませんが、ホテル各社も長期滞在プランを拡充しています。

例えば、リーガロイヤルホテル大阪では、長期滞在型宿泊プラン「Home Hotel」のサービスを開始しました。20㎡弱のシンプルな部屋であれば、15万円で30泊できます。

ロイヤルパークホテルでは、個人向け長期滞在プランに加えて「企業向け定額制宿泊プラン」を打ち出しました。テレワークやワーケーション、サテライトオフィスなどの需要を取り込む狙いです。

新トレンドは苦戦の裏返し

これらの新トレンドは、ホテル業界の業績低迷の裏返しとも言えます。帝国ホテル <9708> は、2021年3月期通期連結業績の経常利益が84億5,000万円の赤字になると予想しています。前期実績は約35億円の黒字でした。

新型コロナウイルスの感染拡大が続き、「GO TO トラベル」キャンペーンも再開の目処が経たず、東京オリンピックは海外からの観戦客の受け入れを断念しました。通常の宿泊需要が大きく後退している状況で、ホテル各社は「ホテルの新しい活用法」を打ち出し、需要創出を狙っているようです。

「ホテルに住む」「ホテルで働く」という新トレンドがますます広がっていくかは、ホテル業界の今後の業績も大きく関わってくるでしょう。今後の動向に注目が集まります。

文・菅野陽平(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
画像・© Imperial Hotel, Ltd.

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