コロナ禍でも世界の売上げが好調なマクドナルド。そのマクドナルドの人気メニューであるビッグマックが、各国の通貨の価値や物価水準、経済力などを測定するための、経済指標として使われていることをご存じでしょうか。筆者が住んでいるオランダのビッグマックと一緒にご紹介します。
「ビッグマック指数」とは?
日本のマクドナルドのフライドポテトというと、軽い塩味が定番ですが、筆者の住むオランダでは、マヨネーズやフライドポテト用のソース(マヨネーズより脂肪分が低く甘みが強い)、甘酢ソース、カレーソース、チリソース、ケチャップなど、好みのソースをかけて食べるのが定番です。ドイツでは、サワークリームソースが販売されているそうです。それぞれのお国柄が、メニューに反映されている点が面白いですね。
もちろん、ビッグマックのように、世界共通のメニューもあります。しかし、ビッグマックは、世界中同一品質であるにも関わらず、価格は国により大きく差があります。たとえば、日本では1個390円、南アフリカでは33.50ランド(約253円)と手頃な価格ですが、スイスでは6.50スイスフラン(約778円)、レバノンでは1.55万レバノンポンド(約1224円)もします。なぜ価格差があるのかというと、通貨の価値や物価水準が異なるためです。
「ビッグマック指数(Big Mac Index)」は、ビッグマックの価格を比較することで、その国の「物価が高いか安いか」「通貨の価値が過小評価されているか、過大評価されているか」などを、大まかに知るための経済指標です。
簡単に通貨の価値を比較できる方法として、主に、為替相場やビジネスで活用されていますが、たとえば、日本と他国の物価を比較したり、格安の海外旅行先を探す参考にするなど、日常生活にも役立てられています。
ビッグマック指数を算出してみよう
世界各国のビッグマックの価格とビックマック指数は、ビックマック指数を開発した、英国の経済専門誌『エコノミスト』のサイトで確認できますが、自分でも簡単に算出できます。
ビッグマック指数を算出するためには、ある国のビッグマックの価格を、基準値であるアメリカのビッグマックの価格で割ります。ここで算出された数字が、ビッグマックを基準にした適性な為替レートです。そして、このレートと実際の為替レートの差が、その国の通貨が過大評価されているか、過小評価されているかの目安=ビックマック指数です。以下、日本のビッグマック指数を算出してみます。
例:ビッグマックの価格 アメリカ5.66ドル 日本390円
2021年1月の為替レート 1ドル=104.30円
390(円)÷5.66(ドル)=68.90(ドルに対する円の適正な為替レート)
実際の為替レートは104.30円ですが、ビッグマックの価格を基準にすると、1ドル=68.90円が妥当な為替レートということになります。次に、この2つの為替レートを比較すると、円の価値が分かります。
68.90÷104.30(円)×100-100=-33.9%(日本のビックマック指数)
つまり、円はドルに対して、33.9%過少評価されていることになります。
日本のビックマック指数は世界何位?
日本のビックマック指数は、2000年には10.5%で5位でしたが、現在(2021年1月データ)は56ヵ国・地域中24位です。ビックマック指数が高いのは、以下の10ヵ国・地域です。
順位 | 国・地域 | ビッグマック価格 | ビッグマック指数 |
---|---|---|---|
1位 | スイス | 6.50フラン(約778円) | 28.8% |
2位 | スウェーデン | 52.88クローナ(約683円) | 12.6% |
3位 | ノルウェー | 52クローネ(約683円) | 7.5% |
4位 | アメリカ | 5.66ドル(約619円) | 0.0% |
5位 | イスラエル | 17.00シェケル(約572円) | −5.5% |
6位 | カナダ | 6.77ドル(約602円) | −6.6% |
7位 | ユーロ圏 | 4.25ユーロ(約559円) | −8.8% |
8位 | オーストラリア | 6.48ドル(約547円) | −11.9% |
9位 | デンマーク | 30.00クローネ(約530円) | −13.4% |
10位 | ニュージーランド | 6.80ドル(約532円) | − 13.9% |
(表=エコノミスト・ビックマック指数より筆者作成)
ちなみに、ビックマック指数が最も低い三カ国は、レバノン(−68.7%)、ロシア(−68.0%)、トルコ(−64.5%)です。
ビッグマック指数はあくまで大まかな目安であり、物価や通貨の価値などを正確に示すものではありませんが、各国の物価感を掴む参考にはなります。他にも、世界中で販売されている人気商品を使った指数として、スターバックスの「トール・ラテ指数」などがあります。
「経済」や「為替」というと難しく感じるかも知れませんが、ビッグマック指数のように身近な商品を取り入れた方法ならば、もっと気軽に世界の経済状況について知ることができるのではないでしょうか。
文/写真・アレン琴子(オランダ在住のフリーライター)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)
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