「2024年から新NISAも始まることだし」と思って口座を開いたものの、「何を買ったらいいんだろう」と悩んでいる人もいるでしょう。老後資金のように長期間かけて準備するなら、国の年金運用をお手本にしてみるという方法があります。

長期運用の考え方は国も個人も同じ。年金運用の内容は公表されている
国の年金運用は長期の分散投資が基本なので、金融庁がNISAで打ち出す「長期・分散・積立」による安定した資産形成と考え方はほぼ同じです。国は国民から集めたお金をまとめて運用しますが、個人は積立で少しずつコツコツ運用する点が違うだけといえます。
国の年金はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)という機関が行っていて、国民から集めた保険料をどのように運用しているかが公表されています。
2001年からの収益率は+3.38%(年率)で、98.1兆円の累積収益があります。約20年の間には、収益がマイナスになる年もありましたが、トータルではプラスで、長期で分散投資する効果が分かります。
長期運用のポイントは、短期的な値動きは気にせず、淡々と続けることなのです。
GPIFの運用では、4種類の資産への分散投資が行われています。その構成割合(ポートフォリオ)は、以下のとおりです。
・国内債券 25%
・外国債券 25%
・国内株式 25%
・外国株式 25%
国内・国外の債券と株式に均等に分散投資するという、シンプルな方法であることが分かります。
NISAで似たようなバランスファンドが買える
GPIFの運用をマネするにはどうすればよいかというと、NISAで同じような分散投資をしているバランスファンドを選ぶのです。
現行のつみたてNISAと新NISAのつみたて投資枠は、金融庁が選んだ投資信託から選ぶ仕組みです。そのラインアップには、国内外の債券と株式に均等に分散投資するタイプのバランスファンドがあり、多くの金融機関で取り扱っています。
つみたてNISA(つみたて投資枠)の対象商品は、一般NISAと新NISAの成長投資枠でも買えます。
もちろんGPIFの運用をマネしたからといって、必ず利益が出るとはかぎりません。しかし、GPIFの運用は短期では損失が出ても長期では挽回しているので、比較的堅実な方法と考えられます。
一度積立の設定をすれば、日ごろは放っておいても特に問題はありません。「何を買っていいか分からない」と何もせずにいるより、まずはスタートを切ったほうがよいのではないでしょうか。
文・松田聡子(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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