iDeCoの運用では、たとえ利益がマイナスでも、節税分でカバーできる可能性がありますが、人によっては節税効果が小さく、iDeCoを選ぶメリットがあまりないかもしれません。イデコで得られる節税メリットが小さいのは次の2つのタイプに当てはまる人です。
1 収入が少ない人
専業主婦(夫)や学生で収入が少なく、そもそも税金を払っていない人はiDeCoを始めても節税のメリットがありません。
所得税や住民税がかからない収入の基準は、アルバイトやパートなどの給与収入だと年収100万円以内、YouTuberなどの給与以外の収入だと利益で45万円以内です。
iDeCoは60歳までお金を引き出せない代わりに、節税できるのがメリットです。そもそも税金がほとんどかかっていない人は、好きなときに引き出せるNISAのほうが使い勝手がよいかもしれません。
2 退職金が多い人
退職金の多い人は、iDeCoで積み立てたお金を一括で受け取ると、税金が増えるおそれがあります。
退職金もiDeCoの一括受取も、「退職所得控除」という非課税枠を使えますが、基本的には合算しなければなりません。合計額が非課税枠を超えると、税金がかかります。
非課税枠は長く勤めるほど増えます。たとえば、勤続5年だと200万円ですが、勤続38年(大卒で60歳まで働くケース)だと2,060万円です。
大卒の退職金の目安は、中小企業だと約1,100万円、大企業の総合職だと約2,600万円だと東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(2022年)」と厚生労働省「賃金事情等総合調査(2021年)」のモデル退職金から分かります。
勤め先や職種から退職金が多いと考えられる人は、会社の退職金規定を確かめてからiDeCoを使いましょう。
また、非課税枠を超えそうなら、iDeCoを一括ではなく年金として受け取る方法もあります。この場合も、公的年金の非課税枠を超えれば税金はかかりますが、一括で受け取るより税金が少なくすむ可能性があります。
iDeCoは多くの人にとってはお得な制度
それなりの収入があり税金を払っているなら、よほど退職金が多くない限り、iDeCoを使うことで税金を減らせます。運用がマイナスでも節税分でカバーできる可能性が高く、損する人は少ないでしょう。
収入がなければ自由度が高いのはNISAですが、老後資金を積み立てるため引き出しにくいiDeCoをあえて選ぶのも効果的です。
多くの人にとって、iDeCoで老後に備えるのは賢い選択といえます。
なお、退職金にかかる税金は見直しが検討されており、今後変わる可能性があります。
文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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