相続に備えたい

実は贈与になる3つのNG行動 宝石を売っただけで税金の対象になる?

2023/06/27 19:00

親族に家や車などを安い値段でゆずると、贈与税がかかることがあります。親子や夫婦だからと気軽に譲ったことで税務署から連絡が入り、多額の税金を払わなければならなくなるかもしれません。次の3つのことを知っていないと、「こんなはずじゃなかった」と後悔するかもしれません。 1 自宅などの不動産を安くゆずる 親族に土地や建物などの

親族に家や車などを安い値段でゆずると、贈与税がかかることがあります。親子や夫婦だからと気軽に譲ったことで税務署から連絡が入り、多額の税金を払わなければならなくなるかもしれません。次の3つのことを知っていないと、「こんなはずじゃなかった」と後悔するかもしれません。

1 自宅などの不動産を安くゆずる

親族に土地や建物などの不動産を安く売ると、時価との差額を贈与したとみなされるおそれがあります。時価とは、第三者に売るときの価格や専門家の鑑定を受けた価格のことです。

たとえば、親が子供に時価3,000万円の自宅不動産を1,000万円でゆずると、その差額の2,000万円の贈与とみなされる可能性が高いです。

贈与税率は金額が増えるほど上がり、このケースでは税率45%なので

「(2,000万円-基礎控除110万円)×45%-控除265万円」

という計算で、子供に約586万円の贈与税がかかるおそれがあります。

贈与したつもりがなくても、名義変更をしてしまうと税金からは逃れられないので気を付けましょう。

どのくらい安く売ると贈与とみなされるかはケースバイケースですが、過去の判例から時価の8割未満でゆずるとそのリスクが高まります。

2 車を安くゆずっても贈与税がかかる

車も財産なので、無償や安価でゆずると贈与税がかかることがあります。

贈与税には非課税枠があり、年間110万円までなら税金はかかりません。時価との差額が110万円を超えた場合に贈与税がかかります。

たとえば、親が子供に時価200万円の車を50万円でゆずると差額の150万円が贈与とみなされ、

「(150万円-基礎控除110万円)×10%」

という計算で、子供に4万円の贈与税がかかります。

ただし例外もあり、地方の大学への進学に必要などの理由で扶養している親が子供に車をゆずる場合は、贈与とみなされないことがあります。

3 宝石や美術品を安くゆずる

宝石や美術品など価値の高いものをあげたり、安くゆずったりした場合も贈与税がかかるおそれがあります。たとえば、アクセサリーや貴金属、時計、掛軸、骨董品、ワインなどが考えられます。

税務署には百貨店や宝石店、画廊のお得意様リストを見る権限があるため、価値の高いものをよく買っているのに相続税を申告していないと、贈与を疑われます。調査が入って贈与税を払っていないことが分かれば、過去にさかのぼって支払いを求められます。

不動産や車、宝石などの贈与税の申告が遅れると、最大年14.6%の延滞税がかかります。また、申告しなかった罰金として最大30%の無申告加算税がかかることもあります。さらに、財産をわざと隠そうとしたなど悪質なケースでは、最大40%の重加算税がかかります。

親子や夫婦でも、大きな財産を移すときは税理士などの専門家に相談し、必ず贈与税を申告しましょう。

文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

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