認知症による行方不明者の件数が増えており、昨年1年間で全国の警察への届出は、1万8,700人だったことがニュースで報じられた。この数は、統計を取り始めた2012年の9,607人をはるかに上回っている。
患者の行動にイラッとしてキツイ言葉をかけてしまうことがあるかもしれないが、その言葉がきっかけで本人が傷ついて症状が悪化する場合もある。認知症の人には、どのような言葉を言ってはいけないのだろうか。
1 「絶対ここに座っていて」──行動を強制する言葉
認知症の家族が思うような行動をしてくれないと、行動を強制する言葉をかけてしまうことがあるかもしれない。
たとえば、「絶対ここに座っていて」「これをしないとご飯を食べさせないよ」「いいからお風呂に入って」といった言葉だ。
こういった言葉を患者にかけると、怖がらせてしまうことがある。また、家族へ不信感を抱かせてしまうおそれもある。
患者が思うように動いてくれないときは優しい言葉をかけて、本人が納得しやすい状況を作ろう。
たとえば、患者がお風呂に入ることをためらっていたら、「体がスッキリするからお風呂に入ろう」といった、優しい言葉をかけてあげるとよい。
また、なぜ嫌がるのか理由を聞いてみるのも効果的だ。たとえば、お風呂に入りたくない患者がいたとしよう。なぜお風呂に入りたくないのか聞いてみたところ、「お風呂が熱いから入りたくない」と言う。この場合は、お湯の温度を低く設定するという対処ができる。
認知症の人には優しく接し、本人が行動しやすい状況を作ろう。
2 「私がやるからいいよ」──やろうとしていることを奪う言葉
認知症になると何ごとにも時間がかかったり失敗したりするため、周りで見ている家族は「私がやるからいいよ」と声をかけてしまうことがある。
こういった言葉は患者の自信を奪い、傷つけることがあるので使い方に気をつけよう。
もし、患者ができないことあるなら、それを奪うことなく横からそっと手伝ったり、見守ったりするのが効果的だ。
そうすることによって、患者はそれをこなしたことの達成感を味わえるし、自信もつくだろう。
家族は患者を見守りながら、本人の自発的な行動をサポートすることが大切だ。
3 「がんばって」──過度に励ます言葉
特に認知症の初期は、物事がスムーズにいかないことを本人が自覚しているケースが多いため、はげましの言葉をかける人もいる。しかし、過度にはげますと逆効果になる場合がある。
「頑張って」「●●ならできるよ」といった言葉は本人にプレッシャーを与えてしまい、失敗した場合は自信を失い、症状が悪化してしまうかもしれない。
それよりも、今できることについて、「●●してくれてありがとう」「助かったよ」といった感謝の気持ちを伝えたほうが、患者の自尊心を傷つけずにすむだろう。
文・廣瀬優香(フリーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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