離れて暮らす親に生活費を送っている人は、親を扶養にすると支払う税金を安くできるかもしれません。扶養にすると所得税、住民税の計算をするときに「扶養控除」として一定の金額を所得から引けるからです。
親を扶養にするには2つの条件がある
扶養に入れると聞くと「一緒に暮らしていないし……」と思う人もいるかもしれませんが、必ずしも同じ家に住んでいる必要はなく、次の2つの要件を満たしていれば認められます。このほかにも配偶者以外の親族であること、白色申告者の事業専従者でないことなどの要件もありますが、親の扶養について考える上で重要なのはこの2つです。
1 親の所得金額が48万円以下であること
2 親子で生計を一(いつ)にしていること
所得の要件については、給与のみの収入であれば103万円以下が対象です(上の条件1で「48万円以下」とありますが、収入から給与所得控除の55万円を引くと48万円以下となるため)。
また、年金収入のみであれば65歳以上で158万円以下で対象となります。この場合も、年金収入から公的年金控除の110万円を引くと48万円以下となります。
また「生計を一にする」とは、同じ財布で生活を共にしていることを指します。たとえば、離れて暮らす親でも生活費をすべて自分が負担していれば、「生計を一にしている」といえますし、老人ホームに入居していても対象です。
親を扶養に入れる方法は、会社員や公務員などは年末調整で、自営業・フリーランスは確定申告で書類に書きます。
税金が最低でも1.9万円安くなる仕組み
扶養に入れて受けられる控除の金額は、対象となる人の年齢で異なり、親が70歳未満なら38万円、70歳以上なら48万円(別居)か58万円(同居)です。
控除とは、収入からその額を引いて税金を計算する仕組みで、その分、税金が安くなります。税率は所得額によって異なりますが、最低5%(課税所得が年194.9万円以下)、最高で45%(同じく4000万円以上)です。
60歳の親を扶養すると税金がどれだけ安くなるかというと、最低の税率5%でも1.9万円安くなりますし(38万円の5%)、最高の45%なら17.1万円も安くなります(38万円の45%)。
なお、会社員などで年収が平均的な450万円くらいの人は、給与所得控除を引くと課税される所得が約200万円強となり、所得税の税率は10%です。すると扶養控除を申請することで、3.8万円安くできます。
「生計を一にしている」ことはどう証明するのか
親と離れて住んでいると、実際にお金を出していることを証明できる書類をそろえておいたほうがよいでしょう。
書類の提出は義務ではありませんが、「銀行振込や現金書留により送金している事実を振込票や書留の写しなどの提示を受け」ることを国税庁は勧めています。手渡しだと証拠が残らないので、注意をしましょう。
文/編集・dメニューマネー編集部
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