NISAで積み上げた資産を、老後の年金生活に入ってから取り崩す場合、少しでも長持ちさせるにはどうするといいのでしょうか。
運用せずに取り崩す場合
まずNISAで老後のために準備した資産を「運用で値下がりするかもしれないから」と、定期預金などに移してから取り崩す場合を考えます。
たとえば2,000万円の老後資金を運用しないで取り崩す場合、約16年で底をつきます。65歳から引き出す場合、81歳で準備した資産がなくなります。
運用をしながら取り崩す場合──NISAを続けるだけで資産の寿命が延びる
これに対して、運用を続けながら取り崩すとどうでしょうか。
2024年からの新NISAでは、老後資産を取り崩し始めてからも運用を続けられます。当然、こちらのほうが資産がより長持ちします。
たとえば新NISAで2,000万円の老後資金を年2.0%で運用しながら取り崩す場合、引き出せる期間が20年間に延びます。65歳で引き出し始めて85歳で資産を使い切ることになるのです。
運用しながら取り崩しは可能?今のNISAとはどう違う?
これができるのは、新NISAでは現行制度にあった非課税で運用できる期間がなくなり、無期限になるからです。
2023年までの現行のNISAでは、非課税期間が終わっても特定口座などで運用を続けられますが、資産を特定口座などに移してからの利益には税金がかかります。
新NISAなら新規の買い付けをしなくなってもそのまま持ち続けて、必要な金額を引き出すだけでよいのです。さらに、いつ引き出しても運用益には税金がかかりません。
マイナスになったときは取り崩す金額を少なめに
ただし注意点としては、取り崩し期間が長期になると、時には運用成績がマイナスになることも考えられるので、引き出す金額を控えめにしたほうがよいでしょう。資産が減っているときに取り崩すと運用の元本が減ることになるからです。
とはいえ、老後以前の投資からあわせて考えると、30年から50年もの長期運用となるはずで、平均すると安定した成果を期待できるでしょう。
男性の平均寿命は81.47歳、女の平均寿命は87.57歳です(2021年、厚労省)。長生きする分、資産の寿命も延ばす必要があります。年金生活になってからもNISAで資産を持ち続け、計画的に引き出しましょう。
文・松田聡子(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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