職場や家庭でよく使う「認知症の人」を苦しめる言葉

2023/07/19 20:00

親や親族が認知症になったとき、言ったりやったりしてはいけないことがある。認知症の初期の状態では、患者自身が物事をスムーズにこなせないことを自覚している場合が多い。もし、患者が傷つくような行動をしてしまうと、症状を悪化させるおそれがある。どんな行動を、認知症の患者にやってはいけないのだろうか? 認知症の人にやってしまいが

親や親族が認知症になったとき、言ったりやったりしてはいけないことがある。認知症の初期の状態では、患者自身が物事をスムーズにこなせないことを自覚している場合が多い。もし、患者が傷つくような行動をしてしまうと、症状を悪化させるおそれがある。どんな行動を、認知症の患者にやってはいけないのだろうか?

認知症の人にやってしまいがちな行動

親や親族が認知症になり、物事をスムーズにできなくなったとき、周りの家族がついやってしまう行動があるが、それがきっかけで症状が悪くなることがある。認知症の患者に対してやってはいけない行動には次のようなものがある。

間違いや失敗を細かく指摘すること

特に認知症が始まったばかりのときは、前のような生活に戻ってほしいという思いから、患者の間違いや失敗に対して細かく指摘してしまう人がいる。

たとえば、「その話は前も聞いたよ」「ごみの分別はきちんとしてね」などと言うことがこれにあたる。

しかし、患者自身は正しくやっていると思っているので、このように何度も指摘されると何が事実なのか分からなくなって混乱し、不安が増してしまう。

間違いに責任を感じて自分の世界に閉じこもり、うつ病のきっかけになることもある。 失敗を細かく指摘するのではなく、「大丈夫だよ」というように優しく声をかけ、不安を助長しないようにしよう。

心配だからと外出させないようにすること

患者がひとり歩きして居場所が分からなくなることへの不安から、外に出ないように部屋のドアに鍵をかけてしまう人もいる。

実際に認知症による行方不明者は増えていて、2022年の警察への届出は1万8,700人と、10年でほぼ2倍になっている。

しかし、家に閉じ込められると、むしろ外に出たいという欲求が高まり、ドアから出られないなら窓から出ようと考えて危険な行動をとることがある。

また、やっとの思いで出られたときに、閉じ込められたときの恐怖心から、どんどん遠くに行ってしまうこともある。

不安だからといって外出できないようにするのは避け、日中に適度な運動をしてもらい、夜にぐっすり眠れるようにするなどの対策をしよう。

万が一居場所が分からなくなったときのために、日頃からGPS端末を身につけてもらうといった対策もあるので、症状に応じて検討するとよいかもしれない。

詳しく読む>>
認知症の人にやってしまいがちな3つのNG行動

認知症の人に言ってはいけないよく使う言葉

認知症による行方不明者の件数が増えており、昨年1年間で全国の警察への届出は、1万8,700人だったことがニュースで報じられた。この数は、統計を取り始めた2012年の9,607人をはるかに上回っている。

患者の行動にイラッとしてキツイ言葉をかけてしまうことがあるかもしれないが、その言葉がきっかけで本人が傷ついて症状が悪化する場合もある。認知症の人には、どのような言葉を言ってはいけないのだろうか。

「絶対ここに座っていて」──行動を強制する言葉

認知症の家族が思うような行動をしてくれないと、行動を強制する言葉をかけてしまうことがあるかもしれない。

たとえば、「絶対ここに座っていて」「これをしないとご飯を食べさせないよ」「いいからお風呂に入って」といった言葉だ。

こういった言葉を患者にかけると、怖がらせてしまうことがある。また、家族へ不信感を抱かせてしまうおそれもある。

患者が思うように動いてくれないときは優しい言葉をかけて、本人が納得しやすい状況を作ろう。

たとえば、患者がお風呂に入ることをためらっていたら、「体がスッキリするからお風呂に入ろう」といった、優しい言葉をかけてあげるとよい。

また、なぜ嫌がるのか理由を聞いてみるのも効果的だ。たとえば、お風呂に入りたくない患者がいたとしよう。

なぜお風呂に入りたくないのか聞いてみたところ、「お風呂が熱いから入りたくない」と言う。この場合は、お湯の温度を低く設定するという対処ができる。

認知症の人には優しく接し、本人が行動しやすい状況を作ろう。

「がんばって」──過度に励ます言葉

特に認知症の初期は、物事がスムーズにいかないことを本人が自覚しているケースが多いため、はげましの言葉をかける人もいる。しかし、過度にはげますと逆効果になる場合がある。

「頑張って」「●●ならできるよ」といった言葉は本人にプレッシャーを与えてしまい、失敗した場合は自信を失い、症状が悪化してしまうかもしれない。

それよりも、今できることについて、「●●してくれてありがとう」「助かったよ」といった感謝の気持ちを伝えたほうが、患者の自尊心を傷つけずにすむだろう。

詳しく読む>>
認知症の人に言ってはいけない!職場や家庭でもよく使う3つの「言葉」

文/編集・dメニューマネー編集部

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