カップラーメンの「謎肉」に代表される“代替食品”が注目を集める中、食品メーカーのキユーピー <2809> が、大豆が原料で卵を使わない「代替卵」を発売することになった。
海外では米国やイスラエルに事例があるが、国内の食品メーカーが代替卵商品を出すのは初めて。マーケットにどのような影響を与えるのだろうか。
卵アレルギーや動物性食品を食べない人でもOK
キューピーが発売する新商品「HOBOTAMA」(ほぼたま)は、大豆を原料とするスクランブルエッグのようなペースト状の食品。まず業務用としてホテルや飲食店向けに6月下旬にも発売される予定だ。
狙いとしては、卵アレルギーの人でも食べられること、食の多様性の高まりにこたえることなどにある。最近ではヴィーガン(ビーガン)のように肉や卵、魚などの動物性成分を口にしない食生活も注目が高まっており、こうした期待にこたえる狙いもあるだろう。
食の多様性から広がる“代替マーケット”
世界的な代替卵マーケットは、規模はまだ小さいが成長しつつある。米国のイート・ジャストは既にアジアにも進出、卵のみならず培養肉の生産にも取り組んでいる。このほかにもイスラエルのZero Eggも資金調達をして米国進出も果たしている。イギリスのCrackd、インドのEvo Foodsなどほかにも多くのスタートアップが生まれている。
代替食品の中でも進んでいるのが代替肉。これも大豆を主な原料としており、牛肉や豚肉に食感を似せている。宗教上の理由で肉を食べられないケースもあるが、大豆なら問題ない。
さらに、以前はこうした大豆ミートには卵白が使われていたが、最近では卵白ですら使わないで作る研究も進んでいる。
A.T.カーニーの報告によると、2040年には肉全体の6割が培養肉か植物肉になるとの予測もあるという。代替肉に関しては、国内では丸大食品が先行、日本ハムや伊藤ハムも参入している。
世界2位の鶏卵消費国・日本で根付くか?
実は鶏卵の消費はアジアで盛んだ。日本の一人当たりの鶏卵の消費量は年間338個で世界2位。首位はメキシコで、このほか中国が4位、韓国が9位に入っている(IEC=国際卵委員会=のまとめによる)。これだけ多くの鶏卵を消費している国・地域でどれだけ代替卵が支持されるのかには要注目だ。
コロナ禍が貿易、各国の輸出入、食品確保に与えた影響は小さくない。ライフスタイルや物流が大きく変わる中で、こうした代替食品の存在感は今後ますます高まるに違いない。
文/編集・dメニューマネー編集部
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