連載 そのコトバ、子どもに説明できますか?
投資や経済、金融、ビジネスで頻出するさまざまな専門用語。なんとなく知っているけど、うまく説明できないという言葉はたくさんあると思います。そんな専門用語も、だれかにちゃんと説明できるようになれば、しっかり理解していると言えるはずです。お子さんがいらっしゃる方も、いらっしゃらない方も、子供に向けて、専門用語を説明できるようになりましょう。
第6回「SDGs」──国際社会が正しく成長ための共通目標
最近TVなどで耳にする「SDGs」という言葉。何となく「いいもの」というイメージを持っている人が多い一方、「エス・ディー・ジーズ」という読み方を知らない人も少なくないように思います。
「持続可能な開発目標」はどうやってできた?
日本語では「持続可能な開発目標」と直訳されるSDGsは、Sustainable Development Goals(サステナブル ディベロップメント ゴールズ)の略です。言い換えると「国際社会が正しく成長していくための共通目標」といったところでしょうか。
2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されたのがSDGsです。サミットで採択されたということは、日本も含めた世界中の国々が賛同したことで決まったということになります。内容は、2030年までにこの共通目標に向かって進みましょうというものです。
17個のゴールが柱
具体的には、17個のゴールと169のターゲット(さらに232の指標)が示されています。次の図で17個のゴールだけをみていきましょう。
目標1 [貧困] | あらゆる場所あらゆる形態の貧困を終わらせる |
目標2 [飢餓] | 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養の改善を実現し、持続可能な農業を促進する |
目標3 [保健] | あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する |
目標4 [教育] | すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する |
目標5 [ジェンダー] | ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う |
目標6 [水・衛生] | すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する |
目標7 [エネルギー] | すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する |
目標8 [経済成長と雇用] | 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある 人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する |
目標9 [インフラ、産業化、イノベーション] | 強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る |
目標10 [不平等] | 国内及び各国家間の不平等を是正する |
目標11 [持続可能な都市] | 包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する |
目標12 [持続可能な消費と生産] | 持続可能な消費生産形態を確保する |
目標13 [気候変動] | 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる |
目標14 [海洋資源] | 持続可能な開発のために、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する |
目標15 [陸上資源] | 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する |
目標16 [平和] | 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する |
目標17 [実施手段] | 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する |
(出所:外務省 持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組パンフレット)
貧困や飢餓、教育、ジェンダー……一読しただけでも、すべて重要なものばかりです。こうした目標に対して、政府や企業を中心に様々な取り組みが進められています。
これらを達成するための具体的な施策として、169のターゲットと232の指標が挙げられています。
ESGの意味とSDGsとの関係性
ところで「SDGs」に近い言葉で、「ESG(イー・エス・ジー)」というものを聞いたことがあるかもしれません。
ESGは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス=統治・管理)の頭文字からつくられた造語です。この3つの観点を重視することによって、投資家・金融機関・企業を「正しい投資」「正しいお金の流れ」「正しい経営」といった方向に向かわせるために考えられた概念です。ESG投資という形式は既に定着しており、企業評価や投資(お金の流れ)に大きな影響を与えています。
イメージとしては、SDGsの中にESGが内包されていると考えればよいでしょう。ESGを追求することで、SDGsにもつながります。
こうした概念への理解が深まると、日常生活での行動が変わり、購入する商品や利用するサービスにも影響が出るかもしれません。そうした個人の変化の積み重ねが社会そのものであり、共通目標に向かう原動力と言えます。
「持続可能な開発目標」というと、あまりに大きな視点過ぎて、他人事のように感じるかもしれませんが、実際には、日々の生活の中で、一人ひとりができることをすれば、結果的に良いほうに向かうのではないでしょうか。
文・若杉篤史(RAKAN RICERCA代表)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)
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