個人的イチオシ!個人向け国債
(出典:財務省ウェブサイト)

物価がどんどん上がり、為替は急に円安。コロナ禍は続き、会社の倒産や紛争など、不安になるニュースが相次ぎ、将来に対する不安はますます膨らむばかりです。今や老後のお金は自分で用意しなければいけない時代です。

最近では、iDeCoやNISAなど、個人向けの商品がたくさんありますが、いろいろあって何に投資していいか迷うものです。また、投資にはリスクはつきもので、「絶対に減らない」とは言えません。

もし少しでも預貯金に「使う予定は当面ないけど、減らしたくない」というお金があるなら、「個人向け国債」を検討してみてはいかがでしょうか。

よく聞く「個人向け国債」ですが、詳しくは分からないもの。そこでお金の専門家、ファイナンシャル・プランナーである武藤貴子さんに、「初心者が思い浮かべる質問」に答えてもらいました。

元本割れがなく1万円から毎月買える商品!

Q1.個人向け国債とは「どんな商品」?「何種類」あるの?

編集部

A1. 個人が買いやすいよう工夫された国債です。銀行や証券会社、郵便局などで毎月募集していて、1万円から買えます。3種類(変動10年・固定5年・固定3年)あり、発行から1年経過すれば1万円単位で中途換金できます。

国債は、国がお金を借りるために発行する債券。発行しているのは企業ではなく国なので、安心感から広く支持されています。

個人向け国債は、発行日の半年後から満期までの間、半年ごとに利子を受け取れます。満期になると、利子に加えて貸したお金(買った金額)が目減りすることなく戻ってきますよ。

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Q2.「いつ、どこで、いくらから」買えるの?

編集部

A2. 毎月募集されているので、年12回買えます。全国の銀行や証券会社、郵便局などで、1万円から買えます。

個人向け国債は毎月募集・発行されているので、毎月買えます。募集期間は、月初の発行条件の公表日の翌営業日から月末営業日までのおおむね1ヵ月間です。発行日は、募集期間の翌月15日(15日が休日の場合、翌営業日)です。

たとえば2022(令和4)年12月の募集期間は12月5日から30日までで、この期間に買った個人向け国債は、翌月・1月16日に発行されます。

こうした募集が毎月あり、メガバンクのほか、以下のような全国の金融機関で買えます。インターネットから購入できる金融機関もあります。

 

証券会社/都市銀行/信託銀行/地方銀行/第二地方銀行/信用金庫/信用組合/労働金庫/農協/ゆうちょ銀行

また、個人向け国債は1万円から、1万円単位で買えます。購入金額に上限はありませんので、投資する目的や余裕資金の金額に合わせられますよ。

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Q3.個人向け国債、買うには「どうすればいい」?

編集部

A3. 買いたい金融機関で国債の口座を開設しましょう。

個人向け国債を買う時は、銀行や証券会社、郵便局などで国債の口座を開設します。口座を開設するのに必要なものは、基本的には銀行口座を開くときと同じ(運転免許証などの本人確認書類、マイナンバーが確認できる書類、印鑑など)です。ただし、金融機関によっては必要書類が異なる場合がありますので、事前に確認したほうが良いでしょう。

口座を開設した後、実際に国債を買う時に必要なのは、購入代金、預金通帳、印鑑です。なお株券のように電子化されているので、実際に紙に印刷された「国債」が手元に届くわけではありません。こちらも詳しくは、買おうとしている金融機関に確認するといいですね。

個人向け国債, 必要書類
(出典:財務省ウェブサイト)
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利子はいつもらえる?税金は?

Q4.個人向け国債の「利子」はいつ支払われるの?

編集部

A4. 半年ごとに年2回支払われます。

個人向け国債の利子は、半年ごとに年2回支払われます。支払われる日は、毎年の発行月の15日と、発行月の半年後の15日です。

たとえば12月に個人向け国債を買うと、翌1月に国債が発行されます。その場合、原則として1月15日と 7月15日に利子がもらえます。

なお、利子の支払われる日が金融機関の休みの場合は、翌営業日に支払われます。

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Q5.「税金」はいくら取られるの?

編集部

A5. 利子を受け取る時に、約20%の税金が取られます。

個人向け国債の利子からは、20.315%の税金が取られます(差し引かれます)。

たとえば、利子が1万円の場合、約2,000円が税金として引かれますので、もらえる利子は約8,000円です。

ただし、利子に税金がかからない人もいます。たとえば遺族年金を受け取っている人、身体障害者手帳を持っている人などです(障害者などの非課税貯蓄制度。いわゆるマル優、特別マル優)。

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Q6.「元本割れしない」というのは本当でしょうか?

編集部

A6. 本当です。個人向け国債が元本割れすることはありません。

満期に戻ってくるお金(元本)が減ってしまうことはありません。経済環境などにより実勢金利が変動し、債券価格が変わっても、個人向け国債の元本部分の価格は変わらないからです。

「元本割れは避けたいが、何か投資がしてみたい」という場合には、個人向け国債が選択肢の一つになるのではないでしょうか。

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途中で換金できる?相続はできるの?

Q7.個人向け国債は「満期前に換金」できるの?

編集部

A7. 満期が来ていなくても、発行から1年経てば換金できます(例外あり)。

個人向け国債は、満期が来ていなくても、発行から1年が経っていれば、原則いつでも換金できます。全部を換金することも、一部だけ換金することもできますよ(ただし満期前に換金すると直前2回分の各利子相当額の金額が引かれてしまいます)。

なお発行から1年が経っていなくても、例外的に換金できることがあります。大規模災害で被害を受けた場合と、個人向け国債を持っている人が亡くなった場合です。

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Q8.個人向け国債の「譲渡、相続」はできますか?

編集部

A8. 個人間ならいつでも譲渡でき、相続も可能です。

個人向け国債は、1万円から1万円単位で譲渡や相続ができますし、個人への譲渡はいつでも可能です。

また、個人向け国債を持つ人が亡くなった場合は、個人向け国債を相続人の口座へ移せます。ただし、相続の際の取り扱いは金融機関ごとに異なる場合があるので、個人向け国債を買った金融機関に問い合わせてみましょう。

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Q9.口座がある「金融機関が破たん」したら、どうなりますか?

編集部

A9. 国が責任を持って元本や利子を支払ってくれます。

たとえ口座を開設している金融機関が破たんしても、元本や利子が支払われなくなることはありません! 破綻した金融機関が国債そのものを保有している訳ではなく、その国債の記録を保有しており、記録は破たんしても残るため、支払いを受ける権利は守られます。

個人向け国債を買った人が損をすることはないので、安心して買えそうですね。

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どれが一番売れてる?子供でも買える?

Q10.3種類(10年・5年・3年)の「違いは期間だけ」ですか?

編集部

A10. 満期までの長さのほか、金利の決まり方に違いがあります。

個人向け国債の3種類は、満期までの「長さ」と「金利」によって名前が違います。その違いは一目瞭然で、次のとおりです。

  • 変動金利型10年満期(変動10年)
  • 固定金利型5年満期(固定5年)
  • 固定金利型3年満期(固定3年)
商品名 個人向け国債 変動10 個人向け国債 固定5 個人向け国債 固定3
満期 10年 5年 3年
金利タイプ 変動 固定
金利設定方法 ※1 基準金利×0.66% ※2 基準金利-0.05% ※3 基準金利-0.03% ※3
金利の下限 0.05%(年率)
利子の受け取り 半年ごとに年2回
購入単価
(販売価格)
最低1万円から1万円単位(額面金額100円につき100円)
償還金額 額面金額100円につき100円(中途換金時も同じ)
中途換金 発行後1年経てばいつでも可能※4
直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれます。※5
発行月
(発行頻度)
毎月(年12回)
※1 国債の利子は、受取時に20.315%分の税金が差し引かれます。ただし「障害者などの非課税貯蓄制度(いわゆるマル優、特別マル優)」の適用を受け、非課税とすることができます。この制度については、税務署などにお問い合わせください。 ※2 基準金利は、利子計算期間開始日の前月までの最後に行われた10年固定利付国債の入札(初回利子については募集期間開始日までの最後に行われた入札)における平均落札利回り。 ※3 基準金利は、募集期間開始日の2営業日前において、市場実勢利回りを基に計算した期間5年または3年の固定利付国債の想定利回り。 ※4 中途換金の特例:災害救助法の適用対象となった大規模な自然災害により被害を受けられた場合、又は保有者本人が亡くなられた場合には、上記の期間に関わらず中途換金できます。 ※5 直前2回分の各利子(税引前)相当額に0.79685を乗じているのは、国債の利子の受取時に20.315%分の税金が差し引かれているためです。

「変動10年」は、満期が10年で、半年ごとに実勢金利に応じて適用される利率が変わるタイプです。インフレになり実勢金利が上昇すれば、受け取る利子が増えることも期待できます。

「固定5年」「固定3年」は、満期がそれぞれ5年と3年で、満期まで利率が変わらないタイプです。そのため、発行された時点で、「いくら増えてお金が返ってくるか」を知ることができます。

なお、実勢金利が低くなると適用利率(固定債は利率)がゼロ%やマイナスになるなど、著しく低くなるケースが出てきますが、最低でも0.05%(年率)の金利は保証されているので安心です。また、すべての銘柄について金利に上限はありません。

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Q11.「10年・5年・3年」でどれが一番売れていますか?

編集部

A11. 購入比率は変動10年が7割、固定5年は1割弱、固定3年が2割程度です。

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変動10年が一番人気のようですね。

個人向け国債
(出典:財務省ウェブサイト)

Q12.個人向け国債は「未成年者」でも買えますか?

編集部

A12. 未成年者でも買えます。年齢制限はありません。

個人向け国債を買うのに年齢制限はありませんので、未成年者でも買えますよ。

ただし、金融機関によっては、親権者の同意が必要なケースもあります。未成年者が個人向け国債を買うことを考えている場合は、個人向け国債を買おうとしている金融機関に確認してみましょう。

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ここで買えばお得!なところはある?どんな人が買えばいい?

Q13.値引きや金利アップしてくれる「お得な金融機関」はありますか?

編集部

A13. ありません。どこで買っても価格や金利などは同じです。

個人向け国債は、どの金融機関で買っても、価格や金利などの条件はまったく同じです。また、中途換金した場合に戻ってくる金額が、金融機関によって異なることもありません。

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Q14.個人向け国債をいま買うと、10年・5年・3年で「利子はいくら」になりますか?

編集部

A14. 金利は毎月変動するので、詳しくは財務省ウェブサイトで試算してみてください。

実際に個人向け国債を買った場合に受け取れる利子の金額を試算できますよ。

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Q15.どんな人が買っていますか?また、どんな人が買うといいのでしょうか?

編集部

A15. 半分は60代以上、残りの半分が20〜50代です。

長期で安心してお金を預けたい人や、ある程度長い期間、使わなくてもいい余裕資金がある人に向いています。

「お金を増やそう」とするだけでなく、教育資金や老後資金など「絶対に減っては困るお金を守ろう」という人たちにオススメです。

個人向け国債を買っている年代
(出典:財務省ウェブサイト、令和3年度国債広告の効果測定に関する調査報告書)
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減らせないお金を守ることの重要性

最後に、今や「人生100年時代」といわれるなど、「老後」は長く、必要なお金は少なくありません。老後に働き続けるとしても、いつまで元気で働けるか分かりません。

そうした中で、最近では「自己責任で老後のお金を準備する」ことが推奨されています。ただ投資には絶対はなく、増えるどころか減ってしまう危険性にも注意が必要です。

そこで選択肢に入れたいのが「個人向け国債」です。国が責任を持って発行していて、どんなに金利が下がっても、最低金利保証(年率0.05%)がありますし、中途換金時を含め、購入した額(元本)を下回ることはありません。

増やすだけでなく、しっかり守りたいと考える人は、個人向け国債を候補に入れてみてはいかがでしょうか。

監修者・武藤貴子(ファイナンシャル・プランナー)

武藤貴子

マネーコラムの執筆、情報発信を中心に活動するFP(AFP)、金融ライター。お金の制度や仕組みをわかりやすく解説するほか、相談者から寄せられる家計の悩みにアドバイスしている。共働き家庭の家計管理や資産運用、老後資金の準備に関する提案を得意とする。

企画・構成 dメニューマネー編集部広告制作チーム