家族仲が良くても相続トラブルが起きることがある。仲が良いように見えて実は、兄弟・姉妹が不満を持っており、親の死をきっかけにそれがあらわに出てしまうからだ。相続トラブルを防ぐためには、どのようなことに気をつければいいのだろうか?
「仲良し家族こそ」相続争いが起きやすい理由
家族仲が良いと相続でもめることなど想像できないかもしれないが、いざ遺産の相続が始まると裁判にまで発展するケースもある。親から見ても仲の良い兄弟・姉妹でも、なぜ相続争いが起きてしまうのだろうか。仲良し家族こそ注意すべき理由をあらかじめ確かめておきたい。
親に言わないだけで「不公平感」を抱えている人は多い
どんなに仲の良い兄弟・姉妹でも、親からしてもらったことに不公平感を覚えることは多く、それが遺産分割トラブルにつながる。
たとえば、国公立と私立では授業料が違うため、進学先で不公平感を抱くことがある。予備校や塾、習い事のお金についても同じだ。
実家を誰かが引き継ぐケースや、マイホーム購入資金を援助してもらったケースでも、心にしこりが残っているかもしれない。また、孫の有無や人数、預ける回数なども不公平感につながる。
仲良し家族ほど親の前では不平不満を口にしづらく、遺産分割協議で初めてお互いの本音を知り、トラブルに発展することがある。
配偶者の口出しや入れ知恵でこじれることがある
兄弟・姉妹の絆がどんなに強くても、それぞれの配偶者が「あなたは損をしている」「これだけの権利があるのに」と主張して、泥沼の相続争いになることがある。
親が知るのは実家で過ごした子供時代の姿だが、大人になって所帯を持つと、物理的にも精神的にも兄弟・姉妹の距離は離れていくものだ。
一緒に生まれ育った兄弟・姉妹より、ともに人生を歩む配偶者の意見のほうがどうしても大きくなりがちといえよう。
もともと仲が良く、喧嘩をほとんどしてこなかった兄弟・姉妹は、一度こじれてしまうと疑心暗鬼になり、なかなか和解できなくなる傾向がある。
「相続争い」から逃れる方法
「相続争い」の件数は、財産額が1億円以上よりも5,000万円以下の家庭のほうが多く、身近に起こり得るものと考えらる。一度争いが起こると長期にわたって時間的に拘束されたり、精神的ダメージを受けたりと、普段の私生活に影響が出るだろう。
自分の財産を守り抜くことも大事だが、あきらめて相続争いから逃れるのも一つの選択肢だ。
相続放棄する
「相続放棄」により相続財産をすべて手放せば、相続争いから逃れられる。相続では借金などマイナスの財産(負の財産)も負担しなければならないが、相続放棄すれば、こちらも放棄される。
手続きの期限は相続発生から3ヵ月以内で、相続放棄申述書など必要書類を提出して家庭裁判所へ申立てをする。
注意点として、申立てが受理されると二度と撤回できないため、本当に相続を放棄しても大丈夫か慎重に考えることが必要だ。
相続分を譲渡する
「相続分の譲渡」とは自分の相続分を別の人に譲渡することで、その相手は相続争いをしている兄弟姉妹(相続人)の誰かを選べる。相続分の放棄と同様に、期限の3ヵ月を過ぎても簡素なやり取りで成立し、マイナスの財産は負担しなければならない。
譲渡の際は、その財産と引き換えに有償で現金などを受け取れるが、有償・無償にかかわらず相続人と譲渡のやり取りが必要なため、できる限り相続人の誰ともかかわりたくない場合は、相続分の放棄を選ぶほうがよいだろう。
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「相続争い」から逃れる3つの方法 精神的ダメージは小さくない……
文/編集・dメニューマネー編集部