ロレックスの価格がここ数年上がっているというニュースを、よく目に耳にするようになった。dメニューマネーでもいくつかの記事が公開されている。特にロレックスの人気モデルは、買ってすぐに売っても利益が出るとまで言われており、「投資」「転売」目的の人まで買い求めるようになったことが、価格高騰に拍車をかけているようだ。
趣味のアイテムや嗜好品のジャンルでここ数年、価格が高くなっているのは、ロレックスなどの腕時計だけではない。ウイスキー、特に「ジャパニーズウイスキー」も価格がかなり上がっている。
ジャパニーズウイスキーの輸出額は清酒より多い200億円超
ジャパニーズウイスキーとは、サントリーの山崎、響、白秋やニッカの竹鶴、余市などが代表的だろう。正式な定義はないのだが、ジャパニーズウイスキーと便宜的に呼ばれている。
価格が上がっている理由はいくつもある。
まず日本製のウイスキーが国際的な賞を特に2000年代に入ってからいくつも受賞し、世界的にファンが増えていることだ。英国の専門誌が行なっている、ウイスキーの中でも特に権威のある「ワールド・ウイスキー・アワード」(WWA)を受賞するようになったという。
国際的な人気の高まりから、海外への輸出額も増えている。2010年に17億円程度だったジャパニーズウイスキーの海外輸出額も、15年には104億円と、5年で約6倍になっている。
連続テレビ小説「マッサン」が放映されたのは2014年9月から15年3月。これは大正時代、酒屋の跡取り息子がウイスキーづくりを学ぶためにスコットランドへ渡り、そこで妻となる女性と出会うところから始まるお話だ。主人公のモデルは、ニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝とその妻だとされている。
ちょうどこの時期にはジャパニーズウイスキーの人気がうなぎ上りだったわけで、ドラマの影響もあったのかもしれない。
さらに海外輸出額はその後も伸び、2020年には271億円にまで増えている。これで「清酒を20年ぶりに逆転した」と日経が報じている。
2020年といえば世界は既にコロナ禍にあったが、同時に世界的に金余りの状態にもなっていた。株式などの価格高騰で資産が増えた富裕層が目をつけたことが、腕時計と同様ウイスキーの価格高騰の一因とも考えられる。
年代物の原酒には限りがあり、生産を増やせない
また年代物のウイスキーの数には限りがあることも価格が上がっている理由だ。
ウイスキーには「10年」「25年」という年代表記があるが、これは10年や25年寝かせた原酒をつかっていることを意味する。それだけの年酢をおいた原酒がなければ、どんなに人気でも追加大量生産できるわけではないのだ。
定価12万の10倍!100万円超になっている
ジャパニーズウイスキーの人気の銘柄はどれくらいの価格で売買されているのだろうか。
大黒屋のウェブサイトによると、「山崎25年」は2008年ごろ、ネットオークションで5万円から7万円程度だった。現在は希望小売価格が12万5000円(700ミリリットル)だが、同じくオークションでは80万円から90万円程度の値がついているという。ちなみに本稿執筆時点で、100万円を超える価格がついていることも確認できた。
また「響30年」はどうだろうか。こちらは同社によれば、「アジア圏で人気ナンバーワン商品とも言われている」という。同じく希望小売価格が12万5000円(700ミリリットル)の「響30年」だが、現在は40万から50万円になっているそうだ。
ほかにも小売価格を大きく上回る価格で販売(転売)されていることが確認されている。
ウイスキー転売が難しい理由
こうやって聞くと、「自分も転売して儲けたい」と思うかもしれないが、注意点がある。
入手が困難
まずこれらの人気ウイスキーは当然ながら入手が困難だということ。たとえば山崎は、オンラインでときどき販売されるが、発売とほぼ同時に完売してしまっている。
このため入手方法として考えられるのは、全国の百貨店や酒店が行なっている抽選販売に申し込むことくらいだろう。これも倍率はそうとう厳しそうだ。ただそうした情報はネットやアプリで配信されているので、気になる人は登録しておくといいだろう。
酒類販売には免許が必要
さらに忘れてはいけないのは、酒類の転売、転売目的での所持には免許が必要だということだ。
個人用に買ったお酒が要らなくなったので売る程度ならともかく、継続して転売しようとすると、酒類小売業免許が必要になる。また通販サイトなどで転売しようとすると、通信販売酒類小売業免許も必要だ。事業としてみなされるため開業届も必要になるだろう。
なお古物商許可証の要・不要でいうと、酒類は古物品にあたらないので、ウイスキーの販売・転売には古物商許可証は要らないようだ。しかしお酒のケースや、ビンテージウイスキーの瓶などは古物品にあたるとみなされる場合がある。
Amazonでの出品は?」と考えた人もいるかもしれないが、Amazonで出品できる酒類は、アルコール度数1%未満のため、ウイスキーは出品できない。
今から参入するのは簡単ではないが……
十数万円で買ったお酒が100万円くらいで売れると聞けば、誰しも興味を持つだろう。しかし、既に人気が過熱しているともいえ、参入者が多いこともあって、今から「転売」目的でジャパニーズウイスキーを買うのは簡単ではない。
何かの拍子で買えたり、実家などに保管されていたりというラッキーがあれば話は別だが、くれぐれも、「10倍」「100万円近い儲け」という数字に酔わないように注意されたい。
文・瑞澤 圭(フリーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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