持っているけど使っていない銀行口座、ありませんか?実は、2018年1月より、口座名義本人の同意なく休眠預金を活用できる法律が施行されているのはご存じでしょうか。「本人の同意なく」というあたり怖そうですが、休眠口座に預けていたお金(休眠預金)は、一体どうなってしまうのでしょうか。
入金額が1円でも1億円でも条件を満たせば「休眠預金」
預金者が名乗りを上げないままになっている休眠預金は、払戻額を差し引いても、毎年700億円程度にものぼります(2014~2016年度、内閣府および金融庁の発表)。「このお金を何とか有効活用できないか」ということで施行されたのが「休眠預金等活用法」です。
具体的には、預金者に払い戻す努力を尽くしたうえで、休眠預金を広く国民に還元するために、民間公益活動に活用されます。「休眠預金等」とは10年以上、入出金等の取引がない預金を指します。ただし、原則として2009年1月以降に最後の取引があった預金が対象になります。
例えば、2009年2月に入金をして、今日(2021年8月執筆時点)に至るまで取引がないと「休眠預金」と認定され、いつの間にか民間公益活動に活用されてしまうということです。なお、休眠預金になる預貯金額の基準はありません。入金額が1円であっても1億円であっても、条件を満たせば休眠預金と認定されてしまいます。
休眠預金になるともうお金は戻ってこない?
10年は長いようにも感じますが、「そもそも存在を忘れていた」といった口座がある場合、該当する可能性は十分にあります。「民間公益活動に活用される」とは、自分のお金が勝手に使われて、もう戻って来ないということなのでしょうか。
結論から言うと、自分のお金が減ることはありません。休眠預金となった後も、引き続き取引のあった銀行で引き出すことが可能です。実は、休眠預金の全てが民間公益活動に活用されるわけではなく、預金保険機構に、将来の引き出しに備えた準備金が積み立てられることとなっています。休眠預金を引き出したい人には、この準備金からお金が充当されるというわけです。
一定期間取引がない口座に手数料を課す銀行も
ただし、休眠預金等活用法で不利益を被ることはないとしても、休眠預金をそのままにしておくことには注意が必要です。休眠預金を引き出すためには、窓口にて通帳やキャッシュカード、本人確認書類などを提示する手間がかかります。また、最近は一定期間取引がない口座に手数料を課す銀行が増えています。
例えば三菱UFJ銀行では、2021年7月1日以降に開設され、2年以上未利用の普通預金口座には、年間1,320円(税込)の「未利用口座管理手数料」を課すと発表しています。不正口座の作成や利用の防止、口座の維持や管理に係る費用の一部に充当するとのことです。
手数料を課す条件は各行によって異なりますが、同様の動きは三井住友銀行や千葉銀行、横浜銀行などでも確認されています。メガバンクや大手地銀が導入に踏み切ったことで、未利用口座管理手数料は今後、銀行業界のスタンダードになっていくことが予想されます。
休眠預金に該当していないか確認しよう
手数料は年間1,000円強という銀行が多いですが、複数の口座が休眠口座となってしまい、毎年その金額を引き落とされたら、5年後や10年後の合計額は馬鹿にならない金額になります。使わない口座は、できる限り閉鎖しておくと良いでしょう。
今日においては、多くの人が複数の銀行口座を持っているはずです。「そういえば、この銀行の口座も持っていたな」と久しぶりに気がつく口座もあることでしょう。この機会に、自分の保有口座を一覧化して、休眠預金に該当していないか確認してみてはいかがでしょうか。
文・菅野陽平(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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