カジュアル衣料品大手のしまむら<8227>は、他社を圧倒する「安さ」が強みだ。「しまラー」と呼ばれる根強いファンも存在し、お得なアイテムが出ていないか時々店を訪れることは「しまパト」と呼ばれている。売上高は10年間で1,000億円以上増えているのだが、心配なこともある。
商品が安過ぎる気がするのだが、従業員の給与は大丈夫なのだろうか。
しまむらの平均年収の推移は?
次の表がしまむらのこの10年の平均年収の推移だ。しまむらの平均年収は順調に右肩上がりの状況となっている。2011年と2021年の平均年収を比べると、その差は93万6,000円。10年で約100万円上がっているということだ。
しまむらの平均年収の推移 | |
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年 | 平均年収 |
2021年 | 6,557,000円 |
2020年 | 5,985,000円 |
2019年 | 5,963,000円 |
2018年 | 5,969,000円 |
2017年 | 5,939,000円 |
2016年 | 5,865,000円 |
2015年 | 5,815,000円 |
2014年 | 5,781,000円 |
2013年 | 5,744,000円 |
2012年 | 5,840,000円 |
2011年 | 5,621,000円 |
しかし、しまむらはなぜ商品価格をかなり安く設定しながら、従業員の平均年収を上げていくだけの余力があるのだろうか。その秘密を紐解くキーワードは「問屋の排除」「現金買い取り」「データ戦略」だ。
しまむらの安さ・3つの理由
1 問屋の排除
通常、製造業者と小売店の間には「卸売問屋」が入る。そのため、製造業者から小売店が商品を直接仕入れるより、価格が高くなる。しまむらの場合は、製造業者から商品を直接仕入れているため、安い価格での仕入れが実現できている。
2 現金買い取り
しまむらは、製造業者から商品を現金で買い取っている。これは当たり前のことに聞こえるかもしれないが、衣料品業界では決して当たり前のことではない。
小売店によっては売れ残った商品を返品することもあるが、しまむらは原則、売れるまで値下げし、製造業者に商品を返品しない。また、商品を製造業者から購入したらすぐに現金で支払うため、製造業者には売上金の回収リスクがほとんどない。
こうしたしまむらは多くの製造業者から優良な取引先とみなされており、その結果として、仕入れ価格を安く抑えられている。
3 データ戦略
最後が「データ戦略」だ。しまむらは実際の販売実績などを徹底的にデータ分析し、売れ筋商品の強化や売れ残りの防止などに努めている。そしてこうしたことは、高い利益率の実現に寄与する。
しまむらの快進撃はまだまだ続く?
問屋の排除や現金買い取りで仕入れ価格を落とし、データ戦略で高い利益率を実現できているため、しまむらは安い価格設定でもしっかりと利益を残し、従業員の給与にその利益を還元することができているわけだ。
従業員の平均年収が上がれば、従業員のモチベーションは当然より高くなっていく。そしてそのことが企業のさらなる成長の原動力となる。しまむらの快進撃はまだまだ続きそうだ。
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
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