経済ニュースの読み方が分かる!「GDP」の4つのポイント【第10回】

2021/08/30 14:00

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資産運用初心者向けに、経済ニュースをどのように読み解いていけば良いか解説する本連載。今回は、最もポピュラーな経済指標と言える「GDP」について解説していきます。 連載「これであなたも金融通 経済ニュースの読み方入門」第10回 この連載を通じて「金融市場」と呼ばれるものの正体は、21マスのうえで、4人のプレイヤー(中央銀

資産運用初心者向けに、経済ニュースをどのように読み解いていけば良いか解説する本連載。今回は、最もポピュラーな経済指標と言える「GDP」について解説していきます。

連載「これであなたも金融通 経済ニュースの読み方入門」第10回

この連載を通じて「金融市場」と呼ばれるものの正体は、21マスのうえで、4人のプレイヤー(中央銀行、金融機関、機関投資家、個人投資家)によって行われるマネーの動きそのものと説明しています。21マスは以下の通りです。


米国 欧州 日本 中国 新興国
為替 1 5 9 13 17
債券 3 6 10 14 18
株式 3 7 11 15 19
不動産 4 8 12 16 20
商品 21

GDPとは何か

2021年8月16日、内閣府は2021年4〜6月期のGDPを発表しました。多くのマスメディアを通じて、このニュースを見た人も多いでしょう。言い換えれば、それだけ重要なニュースと言えます。

そもそもGDPとは何でしょうか。GDPとは「Gross Domestic Product=国内総生産」の略語で、国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額を指します。「国内」であるため、日本企業が海外支店などで生産したモノやサービスの付加価値は含みません。

トヨタ自動車がいくら米国や中国でクルマを売っても、日本のGDPにはカウントされないということです。日本企業が海外で生み出した付加価値も集計したい場合は、GNI(Gross National Income=国民総所得)という経済指標を用います。

日本の景気を測る指標としては、GNIよりGDPが重視されています。GNIは海外(上記のトヨタの例で言えば米国や中国)の景気に左右されてしまうため、国内の景気をより正確に把握するためには、GDPが適しているというわけです。

GDPを見るときの4つのポイント

それでは、GDPに関するニュースが飛び込んできたときは、どのような点に注目すれば良いのでしょうか。GDPは世界各国で集計されているため、本稿は日本のGDPを前提として考えます。

1から3に関しては、自分がいま見ている数字がどちらなのかしっかり把握するようにしましょう。4に関しては、その強さやトレンドを確認するようにしましょう。

1 一次速報と二次速報

GDPは膨大な量の経済活動を集計しているため、一度ではなかなか集計しきることができません。したがって、一次速報と二次速報に分けられています。通常、二次速報は一次速報の2〜3週間後に発表されます。二次速報では、一次速報の数字に修正が入ることが少なくありません。

2 名目GDPと実質GDP

GDPには、名目GDPと実質GDPの2つがあります。名目GDPとは、単純に生産数量と市場価格を掛け算した付加価値です。そこから物価変動の影響を取り除いたものが名目GDPです。一般的に、実質GDPのほうが経済の実状を知るうえで重要と言われています。

3 前期比と年率

GDPの成長率には、前期比と年率の2つがあります。前期比はひとつ前の期との比較(2021年4〜6月期で言えば2021年1〜3月期との比較)、年率は四半期の成長率を年度の増加率に引き直した数値です。

4 個人消費(民間最終消費支出)

日本のGDPの半分以上は個人消費です。つまり、個人消費の勢いを見ることで、日本経済の大体の勢いを推し量ることができます。GDP統計においては、個人消費は「民間最終消費支出」という名前で掲載されています。

例えば、前期比と年率の成長が「見栄えの良い数字」であったとしても、それが公共事業に支えられている数字で、個人消費が低調だったとしたら、持続的な経済成長は望みにくいと言えます。ちなみに2021年4〜6月期の民間最終消費支出の成長率の図を見ると、実質GDP名目GDPともに前期よりは持ち直していますが、まだまだ個人消費は低調と言えます。

連載「これであなたも金融通 経済ニュースの読み方入門」第10回,GDP
(画像=内閣府「2021年4~6月期四半期別GDP速報 (1次速報値)」より)

GDPはいわば「国力を映す鏡」

今回はGDPについて解説してきました。どんなに経済に疎くても「GDP」という言葉を知らない人はほとんどいないでしょう。それだけ重要な概念ということです。

GDPはいわば「国力を映す鏡」です。GDPが伸びていないと、「成長していない市場」と見なされて、世界中の投資家から投資を避けられてしまいます。GDPに関するニュースはしっかりチェックするようにしましょう。

文・菅野陽平(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

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