「業務スーパー」の純利益の伸びがすさまじい。10年前と現在を比べると、純利益は15倍以上だ。となれば、運営会社である神戸物産 <3038> の従業員の平均年収も相当増えているのではないか……。こうした仮説を立て、実際に同社の平均年収の推移を調べてみた。
過去10年で純利益は15.8倍だが……平均年収は?
以下が過去10年間にわたる神戸物産の純利益と平均年収の推移だ。
ちなみに神戸物産は業務スーパーだけではなく外食事業なども展開しているが、ほかの事業は業務スーパーに比べると売上高は極めて小さいため、神戸物産の業績をそのまま業務スーパーの業績ととらえても差し支えないだろう。
神戸物産の純利益と平均年収の推移 | ||
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年 | 純利益 | 平均年収 |
2020年 | 150億4,700万円 | 484万円 |
2019年 | 1120億5,600万円 | 1474万円 |
2018年 | 1103億6,300万円 | 1458万円 |
2017年 | 183億4,600万円 | 1484万円 |
2016年 | 145億6,000万円 | 1463万円 |
2015年 | 141億7,400万円 | 1469万円 |
2014年 | 123億2,800万円 | 1449万円 |
2013年 | 129億2,900万円 | 1443万円 |
2012年 | 21億2,300万円 | 435万円 |
2011年 | 17億5,400万円 | 465万円 |
2010年 | 9億4,800万円 | 442万円 |
上の表で2010年と2020年の純利益を比べてみよう。2010年は9億4,800万円、2020年は150億4,700万円なので、実に約15.8倍になっている。
しかし従業員の平均年収は、442万円から484万円へと約1.1倍にしかなっていない。純利益の伸びに比べて、平均年収の伸びが小さすぎないだろうか?
神戸物産はケチな会社なのか?
純利益は15.8倍になっているにも関わらず、平均年収は1.1倍……。「神戸物産はなんてケチな会社なんだ」と思うかもしれない。
しかしもう1つの数字を紹介すると、少し印象が変わると思う。それが従業員数の変化だ。
2010年、業務スーパー事業の従業員数は661人だったが、2020年には1,009人まで大幅に増えている。つまり神戸物産は、儲けたお金で多くの雇用を生み出しているわけで、社会への貢献度は非常に大きいと言える。
また、新入社員を増やしたら普通は平均年収が下がるが、神戸物産の平均年収は下がらずに微増ながら右肩上がりだ。つまり、長年勤務している従業員の平均年収は見掛けの数字よりも上がっているということになり、神戸物産はまったくケチな会社ではない。
引き続き神戸物産の業績に注目
神戸物産は今期も過去最高益を更新する見込みで、快進撃はまだまだ続く見込みだ。今後も引き続き、純利益、そして平均年収がどのように推移していくのか、関心が集まる。
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部
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(2021年9月2日公開記事)