ドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH) <7532> は、インバウンド関連を代表する銘柄だった。コロナで訪日外国人需要が完全に消失したにもかかわらず2021年6月期は32期連続増収増益を達成した。その強さの秘密はどこにあるのだろうか。今後の展望はどうだろうか。
渋谷ドンキでは「プチプラコスメ」が成功
「MEGAドンキ渋谷」が渋谷・文化村通りに開店したのは2017年5月。1999年から営業してきた「旧・ドンキ渋谷」を閉店。フロア面積を3倍に拡大し、インバウンド狙いの旗艦店として場所を好立地へ移動した。
狙いは当たり、インバウンドブームの象徴として高級化粧品売り場には客が殺到した。渋谷店の免税売上は、国内店舗別では大阪道頓堀店に次ぐ2位で、インバウンド売上比率は4割にも達した。
コロナ禍でインバウンドは完全に消失したが、今の「MEGAドンキ渋谷」にはインバウンドに代わり10〜20歳台の若い女性が韓国や中国の安い価格帯の「プチプラコスメ」を求めて集まっている。消費者の動向をいち早く把握し、機動的に動ける柔軟性がドンキの強さを象徴している。
驚異の32期連続増収増益
ドン・キホーテ1号店を東京都府中市に開店したのは1989年。「圧縮陳列方式」と「驚安の殿堂」のキャッチコピーが人気を集め店舗を増やしていった。
驚くべきは第1号店オープン以来、32年間増収増益(営業利益ベース)を続けていることだ。20年1〜3月期はコロナ禍で国内ディスカントストアの売り上げが落ちこみ、通期業績を下方修正するピンチだった。
それでも、2021年6月期決算は売上が前期比1.6%増の1兆7,086億円、営業利益は同7.8%増の813億円と過去最高益を更新した。
現在の店舗数はグループで694店。日本ではドン・キホーテ234店、MEGAドンキ140店、スーパーのアピタ、ピアゴが136店など599店舗を構える。コロナ禍でのディスカウント店の落ち込みを巣ごもり需要のスーパーが埋めた。
また海外の伸びも成長を支えており、米国に65店、シンガポール12店、香港9店、タイ4店など95店舗を構えている。
連続増収増益を支えているのは、柔軟な経営スタイルとM&Aだ。家電量販店、ショッピングモール、携帯電話販売店、スーパーマーケットなど小売業の様々な分野で提携やM&Aを繰り返し成長してきた。
2019年にはファミリーマート <8028> からユニーの全株式を取得し完全子会社化することで成長に弾みをつけた。
渋谷区道玄坂二丁目開発でホテルを開業へ
同社は旧・渋谷ドンキのあったエリアで渋谷再開発を進めている。敷地面積5,897平方メートル、地上28階・地下1階、延べ床面積4万1,855平方メートルからなるエリアだ。
店舗・オフィス・ホテルの複合施設で23年9月に開業予定だ。ホテル事業への進出は初だが、今までの小売りやインバウンドで需要を獲得してきた経験を活かせるだけに期待は大きい。
MEGAドンキ渋谷などの店舗や免税店とのシナジーも効きやすい。アフターコロナを狙い、インバウンドに強い立場を強化し囲い込むのが目的なのだ。PPIHの連続で増収増益が続くかどうかは渋谷のホテル戦略がカギになりそうだ。
文/編集・dメニューマネー編集部
(2022年4月20日公開記事)
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