スーツ2着目はなぜ半額なのか?利益はあるのか?

2022/04/23 08:00

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スーツの販売店に行くと、「2着目半額」といった格安セールを目にすることがある。ほかの業界ではほとんどあり得ないほどの大盤振る舞いだが、なぜスーツ業界にはこのような割引の仕組みが存在するのか。その謎の解明を試みてみよう。 よく目にする「スーツ2着目半額」 この謎の解答は、考え方によって2つ導き出される。 マーケティング戦

スーツの販売店に行くと、「2着目半額」といった格安セールを目にすることがある。ほかの業界ではほとんどあり得ないほどの大盤振る舞いだが、なぜスーツ業界にはこのような割引の仕組みが存在するのか。その謎の解明を試みてみよう。

よく目にする「スーツ2着目半額」

この謎の解答は、考え方によって2つ導き出される。

マーケティング戦略としての「2着目半額」

スーツ1着を販売して得られる利益が5,000円だとすると、「1着の価格を3万円で販売する場合」も「1着目の価格を4万円にして2着目を2万円にする場合」も、2着販売した場合の合計価格と利益は同じ額となる。合計価格はともに6万円で、利益もともに1万円だ。

しかし、1着だけ買う場合の価格を安くして、客がスーツを1着しか買ってくれないと、得られる利益は5,000円にとどまる。そのため店側は、1着目の価格を高くしつつも、2着目の価格を安くに設定してお得感を出し、何とか2着買ってもらおうとしているわけだ。

「2着目は半額でも利益が大きい」という考え方

別の考え方もできる。1着目の販売では「店舗の家賃」「広告費」「人件費」などの固定費が差し引かれた金額が利益として残るが、2着目の販売ではこれらの経費はすでに1着目の販売分から差し引かれているため、安く販売しても利益が残るという考え方だ。

この考え方に基づいて計算してみる。例えば1着目を4万円で販売する場合、固定費(金額はあくまで仮定)を差し引くと1万円の利益が残るとする。

販売価格 4万円
材料費 4,000円
店舗の家賃 9,000円(固定費)
広告費 9,000円(固定費)
人件費 9,000円(固定費)
残る利益 1万円

一方、2着目を半額の2万円で販売した場合、固定費は1着目ですでに支払われているため、残る利益は1万6,000円となる。この考え方では、2着目を半額で販売しても残る利益は大きいということになる。

販売価格 2万円
材料費 4,000円
残る利益 1万6,000円

業界の「謎」から、業界を知る

このようなマーケティング的な戦略や利益に対する考え方によって、「スーツ2着目半額」という販売方法が存在しているわけだ。

実際、現在でもスーツの2着目半額セールを行っているスーツ専門店は存在しており、スーツ業界独特の売り方として、今後もこうした慣例が残っていく可能性が高い。

今回はスーツ業界に焦点を当てたが、さまざまな業界に「なぜ」と思う慣例が存在する。その謎を紐解いていけば、その業界について少し詳しくなれる。ほかの業界で不思議に思ったことがあれば、自ら積極的にその理由の解明を試みてみてはいかがだろうか。

文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部

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