理系が文系より「年収が高い」はホント?コロナ禍でその傾向が強まった理由

2022/07/02 14:02

https://money.smt.docomo.ne.jp/image/_mliMBQ7Q_KbBKL4MMTdUQ.jpg
理系のほうが文系よりも年収が高いという話をよく耳にする。かつて理系と文系の年収差について調査が行われ、理系のほうが高年収という結果が出ている。その後、似たような公的調査は行われていないみたいだが、現時点から将来を考えてみると、どちらが年収アップの希望を持てるのだろうか? 2008年調査では文系583万円、理系681万円

理系のほうが文系よりも年収が高いという話をよく耳にする。かつて理系と文系の年収差について調査が行われ、理系のほうが高年収という結果が出ている。その後、似たような公的調査は行われていないみたいだが、現時点から将来を考えてみると、どちらが年収アップの希望を持てるのだろうか?

2008年調査では文系583万円、理系681万円

かなり古い調査になってしまうが、2008年のデータによると、平均年収は理系学部出身者が平均681万円、文系学部の出身者が平均583万円だった(出典:経済産業研究所)。時代の変化を考慮すると、恐らく現在ではこの差はより開き、理系出身者の年収が一層高くなっていると考えられる。

そう考えられる理由は主に以下の2つだ。

・文系出身者の多い仕事が、理系が開発した技術で代替されつつある
・コロナ禍でリモートワークが広がり、文系出身者が多い営業などは業務が減っている

理系出身者がより重宝される時代に

「文系出身者が多い仕事」は、対面でのコミュニケーションや書類を扱うなど、アナログ的な業務を伴う職種が多い。たとえば、事務職や営業職、司法書士、弁護士などだ。一方で「理系出身者が多い仕事」の代表的なものとしては、エンジニア職や研究職がある。

そして、近年はエンジニア職が研究職の人が開発したAI(人工知能)技術や自動化の技術により、アナログ的な仕事がデジタルツールで代替されるようになってきた。これが1つ目の理由だ。

こうした背景から、最近は文系よりも理系人材のほうが重宝されているようだ。

2つ目の理由は、コロナ禍でリモートワークが広がる中、理系出身者が多い仕事はリモートワークでもこなしやすい業務が多い一方、文系出身者が多い仕事はこなしにくい点だ。前述の通り、対面でのコミュニケーションや紙を扱う仕事が多いからだ。

今後さらに、対面でのコミュニケーションの必要性が乏しくなり、かつ「紙からデジタル」の流れが進めば、営業職や事務職の給与はなかなか上がりにくいと考えられる。

将来の年収差は150万もしくは200万円以上に?

具体的に、コロナ禍前後で、職種ごとに平均年収がどう推移したかを見ることで、文系・理系の仕事がどれくらい変わったのかを比べてみよう。

文系の仕事の代表として「営業・企画営業」(個人向け、法人向け)、理系の仕事からは情報システムの開発に関する分析や評価を行う「システムアナリスト」と、経営戦略や問題解決のための情報システムを構築する「システムコンサルタント」を例にとってみる。

職種 2016年 2021年
営業・企画営業(個人向け) 779万円 779万円
営業・企画営業(法人向け) 583万円 611万円
システムアナリスト 933万円 1635万円
システムコンサルタント(業務系) 684万円 1024万円
(出典:マイナビ職種別モデル年収平均ランキング)

営業・企画営業の仕事は横ばい、もしくは微増にとどまるが、システム系の仕事は年収が大きく増加していることが分かる。あくまで一例ではあるが、これを見る限り差は歴然だ。

2008年の調査では、理系は文系より平均年収が98万円高かった。しかし、もし今後大々的に文系と理系の平均年収に関する調査が行われれば、その差はさらに開いており、150万円もしくは200万円以上の差という結果が出るかもしれない。

文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・dメニューマネー編集部

(2022年5月2日公開記事)

【関連記事】
ガソリン以外も!ウクライナ情勢「値上げ」されるモノ3選
初心者向け!ネット証券オススメランキング(外部サイト)
これが「老後破産」の前兆!知っておくべき「NG行為」
SBI証券と楽天証券どちらで開設する?徹底比較(外部サイト)
貯金1000万円ためる人が「絶対にやらない」4つのこと