『同士少女よ、敵を討て』は35万部増刷!「本屋大賞」が注目される理由

2022/06/30 15:00

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2022年の本屋大賞に選ばれた『同士少女よ、敵を討て』(逢坂冬馬著、早川書房)が、受賞が決まって25万部を増刷、正式に発表されてからさらに10万部増刷されました。発行部数は4月上旬時点の累計で46万部、電子書籍版も含めると47万部の大ヒットとなっています。 本屋大賞は過去の受賞作品も続々ベストセラーとなっているエンタメ

2022年の本屋大賞に選ばれた『同士少女よ、敵を討て』(逢坂冬馬著、早川書房)が、受賞が決まって25万部を増刷、正式に発表されてからさらに10万部増刷されました。発行部数は4月上旬時点の累計で46万部、電子書籍版も含めると47万部の大ヒットとなっています。

本屋大賞は過去の受賞作品も続々ベストセラーとなっているエンタメ界の注目の的ですが、なぜ、そんなに注目されているのでしょうか。過去にはどんな作品が選ばれたのでしょうか。

本屋大賞受賞作はなぜ売れる?他の賞との違い

日本を代表する文学賞である芥川龍之介賞(芥川賞)や直木三十五賞(直木賞)は、名だたる作家が選考員となり、文学的に優れている作品が選ばれます。求められるのは文学としての質のため、必ずしも一般人である読者が「読んで面白い」と思う作品が選ばれるわけではありません。

一方、本屋大賞は全国の書店員が選びます。彼らが一読者の目線で「自分の書店で売りたい」「ぜひ他の人におすすめしたい」という作品に投票します。

つまり本屋大賞を受賞する作品は、シンプルに面白い、一般受けする作品ということ。日ごろあまり読書をしない人でも「面白いと言われる作品なら読んでみようかな」という気になり、実際に読んで面白いと感じる。それがヒットにつながっているのです。

映像化されることでさらに話題に

本屋大賞は、受賞作が次々と映像化されているという点も話題になっている理由です。過去には次のような作品が選ばれています。

『東京タワー~オカンとボクと、ときどきオトン』──俳優などマルチに活躍する著者の自伝的小説

(リリー・フランキー著、新潮文庫、880円)
2006年受賞/2007年映画化。『容疑者Xの献身』『ナラタージュ』などを制して受賞

『告白』──イヤミスの女王のデビュー作であり代表作

(湊かなえ著、双葉文庫、681円)
2009年受賞/2010年映画化。主演は松たか子さん。『のぼうの城』などに競り勝って受賞

『舟を編む』──辞書の編集部が舞台

(三浦しをん著、光文社文庫、682円)
2012年受賞/2013年映画化。アニメにもなった。『ビブリア古書堂の事件手帖』などに勝って受賞

『羊と鋼の森』──主人公はピアノの調律師

(宮下奈都著、文春文庫、748円)
2016年受賞/2018年映画化。『火花』『君の膵臓を食べたい』などを制しての受賞

「聞いたことある」「見たことある」という作品もあるのではないでしょうか。

このように受賞作の多くが映像化されることで、さらに作品と賞の認知度が上がっていき、注目を集めるようになったのです。

本屋大賞は、小説の販売促進につながる何かを生み出そうと書店員たちによってつくられた賞で、芥川賞、直木賞とは異なるスタンスにあります。

しかし過去には直木賞と本屋大賞をダブル受賞した作品もあります。2017年に選ばれた『蜜蜂と遠雷』(恩田陸著、幻冬舎文庫、803円)で、こちらも実写映画化されています。

また2021年下半期の直木賞は、22年本屋大賞の『同士少女よ、敵を討て』が候補作になっています(受賞作品は『塞王の楯』=今村翔吾著=、『黒牢城] =米澤穂信著=)。

この点、直木賞が大衆性のある小説を選定しているからといえそうです。

芥川賞、直木賞も受賞作品は増刷されたり売上を伸ばしたりしていますが、今や一般的な注目度では、本屋大賞が両賞をしのいでいると言えるかもしれません。

文・山田千景(ライター)
編集・dメニューマネー編集部
画像・『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬著、早川書房)書影

(2022年4月29日公開記事)

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