「変額保険」に入る人が増えています。2016年には23万件だった契約件数が、2020年には39万件に増えています。そして、加入する人の多くが「貯蓄」目的といわれています。
保険はそもそも、保険会社の人件費などのコスト(付加保険料)負担があるため、貯蓄目的だけで保険に入ることはあまり得策とはいえないのですが、特に「変額保険」については貯蓄に向いていない2つの理由があります。
理由1 コストが高いため利益が出しにくい
「変額保険」は、保険料を株式などで運用し、その結果によって受け取る保険金や解約返戻金の額が変わる保険のことです。その運用がうまくいけば受け取る保険金額は増えますが、うまくいかないと減るわけです。
変額保険の特徴は、保険としての保障の機能を持ちながら、資産運用もできる点です。この点、一石二鳥の素晴らしい商品に見えます。ただ、他の「投資商品」と比べると、コストが高いためお金を増やしにくく、貯蓄(資産形成)には向いていません。
低金利の現在、貯蓄や投資などで高い利回りを出すのは難しいといえます。そこで大切なのは、いかにコストを抑えるかです。その点では、変額保険よりも貯蓄・投資に向いた金融商品は他にたくさんあります。
なお、変額保険ではない他の一般的な生命保険でも、保険会社が保険料を運用に回します。ただこの場合、契約者はその運用リスクを負いません。契約時に利回りや保障額は確定されるからです。
理由2 すぐ解約すると確実に元本割れする
貯蓄に向いていない理由の一つ目は、変額保険は入ってすぐに解約すると確実に元本割れすることです。変額保険に限らず、保険はおおむね、入ってから10年以内に解約すると元本割れするリスクが高いとされます。
10年もあれば経済状況が変わるなどして、保険料を支払い続けられなくなり、解約しなければいけなくなるかもしれません。たとえば、転職して収入が下がった場合や住宅ローンを組み毎月の返済額が高くなった場合など、人々の生活は日々変化するからです。
保険は貯蓄・投資とは別にリスク対策として考えるべき
保険はあくまで人生のリスクに備えて入るものです。そして低金利の現在、貯蓄と投資は必須といえます。
「貯蓄と投資をしなければいけないなら、保険でまかなってしまおう」と考える人もいるようですが、それは決して得策ではありません。
変額保険にもメリットはありますし、目的によってはよい商品と考えられます。しかし、資産を増やすことを目的に入るのは、ちょっと考えたほうがいいのではないでしょうか。
文・小宮崇之(保険代理店経営のファイナンシャルプランナー)
編集・dメニューマネー編集部
(2022年5月2日公開記事)
【関連記事】
・ガソリン以外も!ウクライナ情勢「値上げ」されるモノ3選
・初心者向け!ネット証券オススメランキング(外部サイト)
・これが「老後破産」の前兆!知っておくべき「NG行為」
・SBI証券と楽天証券どちらで開設する?徹底比較(外部サイト)
・貯金1000万円ためる人が「絶対にやらない」4つのこと