福利厚生の「住宅手当」と「家賃補助」は同じようなものという認識を持たれがちですが、効果は違います。税金の計算方法の違いも大きいです。今後転職する際など、「住宅手当て」と「家賃補助」のどちらが手厚い会社を選べばいいのでしょうか。
住宅手当と家賃補助の違い
住宅手当と家賃補助は、「法定外福利厚生」に分類され、法律上の区別はありませんが、税務上は扱いが異なります。
「住宅手当」は、会社が給与に加えて支給する手当です。あくまで従業員が住まいを契約し家賃を支払います。「家賃補助」は、会社によって形態が異なりますが、ここでは会社が従業員の住まいを契約し、一定割合の家賃を支払うものとします。
「住宅手当」は、給与に加算して支給されるため、「所得税」の“課税対象”です。
一方で、「家賃補助」は会社が契約して従業員に貸与します。家賃補助の金額も給与所得として課税されるのが原則ですが、従業員から賃貸料相当額以上の金額を受け取っていれば、“非課税”です。
会社によっては、家賃の50%以上を従業員が負担する形にして、全額非課税とする場合があります。つまり、同じ金額であれば家賃補助のほうが住宅手当と比べて節税になり、給与の手取り額は多くなります。
たとえば、基本給20万円で「住宅手当」が3万円の場合、給与は23万円です。税金や社会保険料が2割引かれるとすると、手取りは18万4,000円です。家賃が6万円だとすると、家賃を引いた手取りは12万4,000円になります。
同じ基本給、家賃で「家賃補助」が3万円の場合、給与から従業員の家賃負担分3万円が引かれるため、給与は17万円です。手取りは13万6,000円となり、住宅手当と比べて1万2,000円手取りが増えます。
給与明細での違い
自分が受けている福利厚生がどちらなのかは、給与明細で確かめられます。
住宅手当は、給与明細に「住宅手当」と記載されます。一方で、家賃補助は給与の欄に記載されません。控除の欄に「社宅費」と記載され、徴収されます。
転職するなら要確認、住宅手当と家賃補助の見分け方
転職を考えている先の企業に、家賃補助と家賃補助のどちらの制度があるのかは、その企業のWebサイトや、転職サイトの求人条件からも見分けられます。
住宅手当の場合は、求人情報の「給与」に記載されています。一方で、家賃補助の場合は給与に記載されず、福利厚生の欄に「社宅制度有」などの記載があるのみです。
どちらか不明な場合は、内定をもらった後に「御社の住宅に関する福利厚生は、住宅手当ですか?それとも社宅ですか?」と質問してみましょう。
住宅手当や家賃補助を設けている会社の割合と平均金額
住宅手当や家賃補助を設けている会社は全体の44%です(労働政策研究・研修機構「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」、2020年7月31日に公表)。企業規模が大きいほど設けている割合が高いです。
平均金額は、従業員一人あたり1万1,169円でした。企業規模別にみると、従業員500人未満では6,034円、5000人以上では1万1,637円となっています(経団連「2019年度福利厚生費調査結果の概要」、2020年11月17日公表)。こちらも規模が大きいほど金額が増える傾向が見られます。
どちらかなら「家賃補助」がある会社を選ぼう!
給与所得として課税される住宅手当と、一定の条件で非課税になる家賃補助では、給与の手取り額に影響します。
もし選べるのであれば、できる限り家賃補助がある会社を選んだほうがよいでしょう。
文/編集・dメニューマネー編集部
(2022年5月10日公開記事)
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