東京電力HD<9501>の株価を予想する上でのプラス材料(株価上昇につながる材料)とマイナス材料(下落につながる材料)をそれぞれ2つずつ挙げた(2022年5月20日記)。
プラス材料 | マイナス材料 | |
---|---|---|
原発再稼働の思惑で電力会社に注目 | ① | 燃料価格高騰と円安が採算を直撃 |
ディフェンシブ株としての電力株 | ② | 脱炭素に巨大な設備投資負担 |
2つのプラス材料
①原発再稼働の思惑で電力会社に注目
岸田首相は5月5日のロンドンでの講演で安全を確保した原子炉を有効活用すると語った。ロシアのウクライナ侵攻がエネルギー安全保障の環境を一変し、再生エネルギーに加えて原発再稼働を進める方針を打ち出した。原発再稼働の期待から翌5月6日の東京電力株は16%高。市場の期待は大きい。
②ディフェンシブ株としての電力株
金利上昇、インフレなどで、世界の株価上昇を牽引した米国株、特にハイテク株の調整が大きくなっている。調整局面で市場をアウトパフォームするのは通常ディフェンシブ株だ。電力会社などの公益、食品、ヘルスケア、生活必需品セクターが典型。ディフェンシブが相対的に人気となる可能性がある。
2つのマイナス材料
①燃料価格高騰と円安が採算を直撃
2022年3月期決算は、LNGトレーディング事業が好調だったため最終利益は97%減の56億円とどうにか黒字を確保した。しかし、主力の電力小売部門は664億円の経常赤字だった。今期もインフレ、円安傾向が続く可能性が高く、経営環境は厳しさを増している。今期予想は算出不可能として未定だ。
②脱炭素に巨大な設備投資負担
原子力発電を含む脱炭素分野に2030年度までに9兆円以上を投資する。従来、最大3兆円としていた投資額を大幅に引き上げた。原燃料高による採算悪化で体力も低下しているところに巨大な設備投資が不可避である。他社とのアライアンス、大型ファイナンスなども当面の課題となりそうだ。
文/編集・dメニューマネー編集部
(2022年5月23日公開記事)
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