相続税の節税法はさまざまありますが、「相続税の対策は今年中にやるべき」という声があります。それは「暦年贈与」の変更案が出ていて、制度が変わると来年度以降、税金が増えるかもしれないからです。
「暦年贈与」がなくなるとどうなる?
年110万円までの贈与を非課税とする「暦年贈与」は、一般的な相続税対策ですが、政府は2022年に相続で引き継がれる資産格差を減らす方針を打ち出しており、早ければ来年にも「暦年贈与」の仕組みが変更される可能性があるといわれています。
具体的な変更案は出ていませんが、もし110万円の非課税枠がなくなった場合はどうなるのでしょうか。
例えば相続人が子供1人で5000万円の資産を持つ人が暦年贈与を10年活用するとします。1年で110万円まで非課税なので、合計1100万円が非課税。つまり残りの3900万円だけが相続税の対象となります。
しかし、非課税枠がなくなれば5000万円すべてが対象になります。相続税の税率は5000万円以下は20%なので(3000万円以下になると15%)、計算すると税額で130万円の差が出ます。
もちろん、この制度がまるまるなくなってしまうとは限りませんが、現在これだけあるメリットが少なくなってしまうかもしれないのです。
暦年贈与以外の相続税対策は?「住宅資金・教育資金贈与」
よく挙げられる相続税対策として、住宅資金・教育資金として贈与するがあります。
住宅資金贈与は最大1000万円の非課税枠、教育資金贈与では最大1500万円の非課税枠などが活用できます。
しかし、住宅資金贈与では住宅購入時、教育資金贈与では子供が学校に通う時期という限定された時期のみが非課税の対象になっています。また教育資金贈与では、贈与資金の利用時に毎回申請する必要もあります。
「生命保険」なら時期を選ばず、手間も少ないが……
そこで考えられる対策が、生命保険を活用する方法です。
生命保険では死亡保険金に対して相続人1人あたり500万円の非課税枠となります。
生命保険の加入はいつでも可能で、住宅・教育資金と違って時期を選びません。また、必要な手続きは生命保険への加入だけで、そのほかに特別な手続きは必要ありません。
しかしデメリットもあります。生命保険による保険金は、遺産分割の対象にならないので、相続トラブルが起きるかもしれないことです。
例として、相続人が子供の2人、そのうちの1人だけが保険金受取人であった場合を考えます。
原則として保険金はすべて、受取人1人のものとなり、遺産分割となる他の資産は2人で平等に分けられます。
すると1人は保険金全て+他の資産の半分、もう1人は他の資産の半分のみとなるため、保険金が大きいとその分不公平になり、もめる原因となる可能性があるのです。
このほかにも、相続税対策はいろいろとあります。それぞれの背景やニーズにあったものを探して適用するには準備と時間がかかります。「暦年贈与」に関するニュースとともにしっかり情報収集をして、時間をかけて対策をしたほうがいいでしょう。
文/編集・dメニューマネー編集部
(2022年5月28日公開記事)
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