長く暮らすマイホームは、「初期コストの安い家」が必ずしもお得とは限りません。価格の安いローコスト住宅の中には、「住んでからのコストが高い家」もあるため注意が必要です。
「ローコスト住宅」には理由がある
ローコスト住宅が登場し、1,000万円台で買えるおしゃれなデザイン住宅の広告を見ることが増えました。しかし、「安い理由」を知らないまま家を建てると、後悔するかもしれません。
ローコスト住宅では、「共同仕入で建材を安く調達」「規格化して設計を効率化」「展示場を持たず広告費をカット」といった工夫で、大手ハウスメーカーよりも安い住宅を提供しています。
このような健全な理由なら問題ありませんが、中には建材や設備のグレードを下げて低価格を実現しているケースもあります。
マイホームは、家族が何十年と暮らす大切な場所です。「住んでからのコスト」が高くつくと、かえって損をするかもしれません。
「住んでからのコスト」が変わる3つのポイント
1 外壁材によってメンテナンスコストが変わる
外壁材や塗装の種類によって、メンテナンスの回数やコストは変わります。外壁のメンテナンスには数百万円かかることもあるため、性能にも注目して外壁材や塗装を選びましょう。
例えば、多くの住宅で使われる窯業(ようぎょう)系サイディングは、初期コストは低いもののメンテナンスの周期は短いという特徴があります。ガルバリウムなどの金属系サイディングや塗り壁のほうが、初期コストは高くても住んでからのメンテナンスコストが安くなることがあります。
2 断熱性能や設備で水道光熱費が変わる
断熱性能や住宅設備によって、毎月の水道光熱費は変わります。数千円から数万円の差でも、数十年積み重なると大きな金額になります。また、断熱性能や設備は暮らしの快適さにも影響します。
「複層ガラスや樹脂サッシなど断熱性能を高める建材を使っているか」「節水機能はあるか」といったポイントをチェックしましょう。太陽光発電やオール電化を検討するのもよいでしょう。
3 省令準耐火構造なら火災保険料が割安に
火災が広がりにくい「省令準耐火構造」の家なら火災リスクを抑えられるため、火災保険料が安くなります。
初期コストは高くなるケースが多いですが、家族の安全や火災保険料のメリットを考慮すれば「高くてもコスパが良い家」といえます。防災に力を入れたい場合は、選択肢の一つに加えましょう。
マイホームは家族が長く暮らす場所だからこそ、目先の安さだけでなく、長期のコスパにもこだわって選ぶことが大切です。ローコスト住宅は安さが魅力ですが、安い理由によっては決してお得な買い物とはなりません。
相見積もりで初期コストばかりを比較するのではなく、住んでからのコストにも注目し、最良の選択をしてください。
文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
(2022年7月1日公開記事)
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