国税庁が7月1日に路線価を公表しましたが、土地の価格は、路線価や取引の値段(実勢価格)のほかにもあり、その仕組みを知らないと高額の税金を払うことになったり、遺産分割をめぐりトラブルになったりします。
目的によりさまざまな土地の価格がある
土地の価格は、「実勢価格」のほかに土地には4つも価格があります。
国税庁が毎年7月1日に公表している「路線価」。国土交通省が3月に公表している「公示価格」、都道府県が9月に出す「基準地価」。さらには市町村が3年ごとに公表する「固定資産税評価額」です。
なぜ省庁・自治体が土地の価格を公表しているかというと、目的が次のように異なるからです。
・路線価……相続税の算定の根拠
・公示価格・基準地価……取引の目安
・固定資産税評価額……固定資産税の算定の根拠
重要なのは「路線価」節税になる場合もあればトラブルになるケースも
中でもとりわけ重要なのが「路線価」です。相続税額に大きく影響するからです。
注意すべきは、路線価と実際価格に差が生じることがある点です。差が生じる理由は、路線価が実勢価格の上昇に追いつかないためで、相続財産の評価が実際よりも低くなる場合があります。
このように路線価が実勢価格より低い場合は、相続税の支払いが少なくて済みます。都心のタワーマンションがその例です。
もう一つ路線価で注意すべき点は、急に上がる場合があることです。鉄道路線ができたり、周辺の開発が進んだりするとあり得ます。すると、事前に想定していた額より相続財産の評価が高くなり、相続税の納税が難しくなったり、遺産分割で不公平が生じたりとトラブルになる例もあります。
路線価はこうして調べる 高い金額を納税しないために
路線価は国税庁のWebサイトの「財産評価基準書 路線価図・倍率表」で見られます。土地に面する道路上に記された数字が、その土地の1平方メートルあたりの価格です。この数字と土地の面積を掛ければ、相続税評価額の概算を計算できます。
実際には、利用が制限される土地があるので補正するのですが、相続税の申告では補正を行わずに高い評価で申告して納税してしまう例が多数あります。
今すぐ相続の予定がなくても、いつ起きるか分かりません。土地の価格の正式な名前や具体的な計算方法ではなく、土地の価格はいろいろあって、よく調べないと損するということだけでも知っておくことが大切です。
文・高村阿木夫(現役銀行員のマネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
(2022年7月5日公開記事)
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