毎月ちゃんと給料を受け取っている人からすれば、「未払いなんてあるの?」と思われるかもしれませんが、実は相談が1年で約1,729件(2020年度、厚生労働省調べ)と意外にあります。この中には、給料を払っているように見えても、実は「法律上、未払い」という場合もあります。
給料は、いつどのような形で払っても良いわけではありません。あなたの勤務先は、給料を適切に払っているといえるでしょうか。
ケース1 お金ではなく「現物」で払われた
給料はお金で払わなければいけません。いくら金銭的な価値があるものでも、モノ(現物)ではいけません。給料は通貨(日本円)で払う必要があり、自社商品や商品券、外貨などで払うのは違法だからです。
ただし、例外があります。それは会社と労働組合が労働協約を結んでいる場合です。従業員が同意して労働協約を結んでいるなら、通勤定期券などを現物で支給しても問題ありません。
ケース2 「本人以外に」払われた
従業員が未成年者だからといって、本人ではなく親に会社が給料を渡せば違法です。給料は本人に直接払わなければいけません。
しかし、給料を現金で手渡している場合で、本人が病気などで来られず家族が代わりに受け取る場合など、法律違反にならないケースもあります。
ケース3 「分割で」払われた
給料日に全額を払わず一部を後で払えば、払わなかった分は未払いです。本来の支払日の翌日以降、支払いが遅れた日数分だけ年利3%で遅延損害金を請求できます。
給料は、一定の期日に全額を払わなければいけません。給料日に全額を払わなければ労働基準法違反です。
ケース4 親睦会費などが「勝手に天引き」された
積立金や親睦会費など、いろいろな名目で“勝手に”会社が給料から天引きするのは違法です。引いた分だけ給料を払わなかったと見なせる場合は、未払金と遅延損害金を請求できます。
ただし、法律で定められた税金・社会保険料を引く場合や、労使協定で定めた費用を引く場合は問題ありません。労使協定で規定すれば、組合費などを差し引けます。
会社に未払金を請求する際、未払金だけでなく年利3%で遅延損害金も請求できる可能性もあります。何が違法になるかは、労働協約の有無や内容で変わります。普段何気なく受け取っている給料が適切に払われているといえるのか、確認してみましょう。
文・大垣秀介(マネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
(2022年7月6日公開記事)
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