日本漫画家協会がインボイス制度に反対の声明を出して話題になったが、実はこのインボイス制度、会社員にとっても他人事ではない。
インボイス制度とは
インボイスとは、適用税率や税額の記載を義務付けた請求書(適格請求書)のことで、取引の消費税額・消費税額を正しく把握するために2023年から必須となる。
インボイスがあれば、売上の消費税から仕入れの消費税を控除できる「仕入税額控除」が受けられるが、適格請求書は誰でも発行できるわけではない。
発行できるのは、「消費税の課税事業者」だけだ。
商売をしている人ならご存じだろうが、現在、1年の売上が1000万円以下の事業者は「免税事業者」として消費税の納税義務はない。たとえば客から消費税分を受け取った場合、本来は「国の税金を預かっている」だけだが、課税売上高が1000万円未満の事業者は納めなくてもいいことになっている。
この場合、消費税の課税事業者ではないので、適格請求書は発行できないということになる。
漫画家やフリーランス には悩ましい制度
漫画家協会が反対声明を出したのも、漫画家はフリー・個人事業主が多く、売り上げ1000万円未満だと消費税の免税事業者にあたり、適格請求書は発行できないからだ。
なぜ適格請求書が発行できないと困るかというと、商品を仕入れる側にしてみれば、適格請求書がないと仕入れ税額控除ができないからだ。
控除が受けられないところから仕入れするより、売り上げが1000万円以上ある消費税の課税事業者から適格請求書を出してもらったほうが、控除を受けられて得になる。すると「インボイスが発行できないところとは取引しない」となってもおかしくない。
ただ漫画家協会がインボイス制度に反対している理由は他にもある。
インボイスの発行事業者として登録をすると、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」に本名が公表されることだ。漫画家の中には、ペンネームで活動し、本名を明かしていない人もいる。そうした漫画家にとっては、名前を含む個人情報を明かされたくないのだ。
会社員でも副業をしている人は注意
影響があるのはフリーや個人事業主だけではない。会社員でも、副業をしている人は注意が必要だ。
副業をしている会社員の多くは、売り上げ規模からしてもインボイスの発行ができないだろうから、仕事が打ち切られる可能性がある。
もし売り上げが1000万円以上あって消費税を払っている場合でも、適格請求書発行事業者として登録すると本名が公開される。本名や、副業していること自体を公にしていない人にとってはリスクといえるだろう。
ただしインボイス制度が導入されても、取引先が一般消費者もしくは免税事業者の場合は、フリーランスであっても副業であっても影響は少ないだろう。
文/編集・dメニューマネー編集部
(2022年7月10日公開記事)
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