6月に東証グロース市場に上場したANYCOLOR(エニーカラー) <5032> の初値は公募価格の3倍を超えた。時価総額は一時、フジテレビや東映を上回った。Vチューバー事業への期待からだ。その人気の秘密に迫ろう。
エニカラは創業5年、社長は26歳のVチューバーの会社
ANYCOLOR <5032> は、Vチューバーのプラットフォーム「にじさんじ」を運営している。ライバー(Vチューバー)150人超、チャンネルは121、登録者数は4,194万人。カバー社が運営する「ホロライブ」とともにVチューバー大手だ。
Vチューバーとはバーチャルユーチューバーの略で、2Dや3Dのキャラクター(アバター)を使ってYouTubeなどで映像コンテンツを配信している人たちのことだ。顔を出さなくても動画配信ができることもあって参入者が増えている。
創業5年、代表取締役CEOの田角陸氏は26歳の若い会社である。Vチューバー運営企業初のIPOとして注目された。
6月8日に東証グロース市場に上場(IPO)。初値は6月9日の4,810円だった。公募価格に対し3.1倍。初値後も人気は継続し、5営業日後の6月17日には上場来高値の9,200円をつけた。公募価格からは6倍、初値からも91%の上昇となる人気IPOだった。
時価総額ではフジテレビ、東映超え
時価総額は、企業評価、企業人気のバロメーターである重要指標の一つである。
エニカラの時価総額は、高値では2,759億円に達した。東証グロース市場で一時トップのビジョナル <4194> を上回りトップに立った。日本を代表する成長企業という立場になったと言ってもいいだろう。
東証全体では、フジテレビを運営するフジ・メディアHD <4676> や映画の東映 <9605> の時価総額を一時超えた。
ちなみに前期売上は、フジ・メディアが 5,250億円、東映が1,175億円、エニカラは141億円にすぎない。エニカラの人気はVチューバーへの将来性への“期待”だ。
市場はVチューバーの成長性の高さを評価
Vチューバーが何なのか、いまさら聞けない人の為に基本を解説しよう。「2Dまたは3Dのアバターを使って活動しているユーチューバー」のことを「バーチャル・ユーチューバー(Vチューバー)」と言う。アバターとはウェブ上のアニメキャラである。よりイメージを掴みたければ、代表的な「キズナアイ」を検索してみよう。
配信者の動きをモーションキャプチャー技術などでアバターとして動画配信する。通常のアニメより動きに人間味が増し、アニメならではのキャラや世界観の表現が広がる。双方向性も高められる。
収入は広告だけでなく、キャラをIPとして育成しコンサート配信・物販などにも展開しやすい。個人の魅力次第のユーチューバーよりも、人気Vチューバーは生み出しやすい。海外市場にも拡大余地が大きいなどが、市場の人気を高めた。
ウェブコンテンツの大手のグリー <3632> 、ドワンゴ <3715> 、サイバーエージェント <4751> なども参入している。エニカラの強みは、Vチューバーになるための、機器やツールを安く提供出来るシステムを構築していることにある。
また、ユーチューバーは人気配信者が独立するリスクがあり、ユーチューバー大手のUUUM <3990> は成長が鈍化しはじめているが、Vチューバーは機器代が高いのでライバーが独立するリスクは少ないようだ。
エニカラの22年4月期の売上は86%増の141億円、営業利益は2.9倍の41億円。営業利益率は30%。今23年4月期も売上は41%増の200億円、営業利益は43%増の60億円、営業利益率30%を予想している。成長率は驚異的に高く、営業利益率はテレビ業界トップの日テレの14%、映画では東宝の17%をはるかに上回る高採算。
株式市場のIPO時の評価は高すぎた可能性もある。しかし、同時に魅力があることも確かだ。今後も注目しておきたい。
文/編集・dメニューマネー編集部
画像・ANYCOLOR株式会社リリースより
(2022年7月11日公開記事)
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