親が亡くなって遺産を相続することになった時、「自分は親の介護を手厚くしていた」という人は「がんばったんだから、兄弟姉妹よりも遺産額は多くもらうのが当然だ」と思うかもしれません。たしかに、「親の介護をしたら遺産が多くなる」という話が聞かれますが、これは本当なのでしょうか?
生前の介護が遺産分割で考慮されるための条件は厳しい
遺産の分け方でもめて裁判になった場合、要介護2以上でないと、生前の介護は考慮されない傾向にあります。要介護2とは、食事や排せつなどで一定の介助が必要な状態です。介護の必要な親がこれより軽い状態なら、遺産分割で考慮されない可能性は高いでしょう。
家事や買い物を手伝っていた程度なら考慮されないことが多く、同居せず親の家や入所先の施設に時々行って世話をした程度なら、裁判を起こしても一般的に認められません。
介護をした証拠がないと遺産分割で考慮されない可能性がある
親の介護が必要で生前に同居していた場合、「生前に同居して、親の財産を食い潰して生活して利益を得たのだから、あなたがもらう遺産は減らすべき」と言われるかもしれません。
介護による苦労はなく、逆に「親と同居しておいしい思いをしていた」と他の相続人に言われてしまいます。
介護の大変さを後から証明するのは、簡単ではありません。従って、介護日誌を毎日つけたり、費用がかかった際のレシートを残したりしておきましょう。
遺言書があれば遺産を多くもらえる場合がある
兄弟2人で遺産を分ける場合、遺言書がなければ一般的に遺産は半分ずつ分けます。しかし、親が生前に遺言書を作っていれば別です。例えば、「介護をしてくれた兄に遺産の4分の3を渡す」という遺言書があれば、その通りに相続できます。
介護による貢献分を巡って、相続トラブルになる可能性があるなら、親が生きているうちに遺言書を作ってもらいましょう。遺言通りに相続するだけなら、遺産の分け方を相続人で話し合う必要がなくなり、もめる余地がありません。
文・大垣秀介(マネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
(2022年7月18日公開記事)
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