物価高で生活費のやり繰りが厳しくても、毎月払うiDeCo(イデコ)の掛金を減らせば、手取りが増えて生活が楽になるかもしれません。しかし、よく考えずに掛金を減らすと後で困ることがあります。注意すべき点は次の3つです。
注意点1 節税効果がなくなる分だけ税金が増える
掛金を月1万円、年12万円減らしても、生活資金が12万円増えるわけではありません。掛金が減ると節税効果が減り、12月の年末調整で引かれる税金が増えるからです。
年収300万円で税率15%(所得税5%+住民税10%)の人なら、12万円を払えば得られた節税効果1.8万円(12万円×15%)がなくなります。税金が1.8万円増える結果、実際には12万円ではなく10万円ほどしか手取りは増えません。
注意点2 掛金の変更は何度もできるわけではない
iDeCoの掛金額は最低5,000円なので、それ以上の額を払っているなら減額できます。しかし、掛金の変更ができるのは1年に1回です。
「とりあえず今月少し減らして、生活が厳しければ来月さらに減らそう」といったことはできません。無計画に掛金を減らすと後で困るので、よく考えてから手続きをしましょう。
掛金の拠出自体をやめることも可能です。しかし、それまで積み立てた掛金は原則60歳まで引き出せないので、生活資金として使えません。
注意点3 老後破産する可能性がある
老後資金が不足すると考えて、厚生年金だけだと足りない分をiDeCoでカバーするつもりだったのに、掛金を減らして年金額を減らしたら、老後に自分や家族が困るかもしれません。
老後の生活費として最低限必要な額は夫婦2人世帯で月22万円、ゆとりある生活をするなら月36万円必要であることが2019年の生命保険文化センターの調査で判明しています。
しかし、厚生年金は平均14.6万円で、配偶者が国民年金6.5万円をもらっても、合計21万円ほどしかありません。
iDeCoと合わせて22万円や36万円になるように、最低限の掛金は払い続けるべきです。iDeCoの年金額は運用実績次第で変わります。しかし、掛金を減らすとそもそも受取額が減るので、掛金の減額は慎重に考えましょう。
文・大垣秀介(マネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
(2022年7月18日公開記事)
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