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マニュライフが業務改善命令!「節税保険」の仕組みや節税のカラクリ

2022/09/19 10:55

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マニュライフ生命保険が7月14日、金融庁から業務改善命令を受けましたが、これは「節税保険」を販売するために、「保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動」を再三、行っていたためだそうです。節税保険に関わる行政処分は初めてだそうです。どんな問題があったのでしょうか。富裕層が活用している「節税保険」とは一体、どのようなものなの

マニュライフ生命保険が7月14日、金融庁から業務改善命令を受けましたが、これは「節税保険」を販売するために、「保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動」を再三、行っていたためだそうです。節税保険に関わる行政処分は初めてだそうです。どんな問題があったのでしょうか。富裕層が活用している「節税保険」とは一体、どのようなものなのでしょうか。

マニュライフが業務改善命令を受けた訳

マニュライフが業務改善命令を受けた理由は、本来、個人年金保険という商品を販売する際に、名義変更を目的とした保険で認可を取っている訳ではないのに、名義変更を前提に保険を販売していたためです。

金融庁によると、同社が行なっていたのは、「法人」契約で保険に入り、解約返戻金が増える直前に「個人」に名義変更(解約返戻金で個人が買い取る)を行なうやり方です。その後、解約返戻金が増えた際に解約して、一時所得として個人が受け取るスキームで、「名義変更プラン」と呼ばれています。

これは、法人にも個人にもメリットがあります。法人にとっては、名義を個人に変更する時に、解約返戻金で個人に保険を売却し、損失を計上できる点です。

そして個人としては、一時所得として50万円の特別控除が受けられ、所得にかかる税金が半分になる(1/2課税)ため、この一時所得が給料として受け取るよりも安い税金で受け取ることがでるのです。

今回、名義変更を前提にした販売が問題になった理由は、保険本来の経済的な保障の趣旨から外れ、組織的に名義変更を前提とした、租税回避を推奨していたためと言われています。

節税保険のメリットと仕組み

「節税保険」という名称ですが、これは法人税を節約できる訳ではなく、法人税を繰り延べできる保険です。法人税を繰り延べすることで、法人税の支払いを一定期間少なくできるメリットがあります。

2019年2月に国税庁が税務上の取り扱いを変更したため、節税保険の多くは販売停止となりました。ただ、現在も多く販売されている商品は、年間保険料の4割を経費にでき、残りの6割を資産にします。以前は支払った保険料が全額経費になるタイプが販売されていたので、経費になる金額が大きく下がっています。

いずれにしても、節税保険は”税の繰り延べ”なので、解約時に何かを経費にしないと、結局今までの節税効果が薄くなってしまいます。このため、多くの経営者は出口管理として、退職金を払ったり、車を購入したりして経費を作るのです。

こうした商品や仕組みを活用したい、節税したいというニーズが高い富裕層は、中小企業の経営者たちです。企業経営で財産を築いた経営者たちには、「利益が出ているうちに法人税の支払いをなるべく少なくし、内部留保を増やしたい」という思いがあります。

マニュライフはそうした富裕層・経営者の思惑を狙い、様々な保険会社の数多ある保険商品の中から選んでもらうために、租税回避を強調し、募集活動を行っていたのです。

保険は原則として保障を目的に入るべき

節税保険は、売り手にとって大きな保険料につながることから、販売をしているケースが多いですが、富裕層の多くを占める中小企業の経営者にとっては慎重に入るかどうかを判断したほうが良いでしょう。

なぜなら、法人税が減っても、法人にとって最も重要な手元資金が減ってしまうケースがあるからです。

保険は本来の保障機能に立ち返って、「その保障が必要だから入る」と考えるべきでしょう。

文・小宮崇之(保険代理店経営のファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

(2022年7月19日公開記事)

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