中古車価格が急騰しており、過去最高水準になっている。人気のある新車は納入待ちで、ランドクルーザーのような人気ブランドは中古車のほうが高いという逆転現象も起こっている。
中古車のオークション価格が過去最高を更新
中古車の多くはオークション経由で販売会社が落札し、顧客に販売される。中古車オークション運営でシェアトップのユー・エス・エス(SS) <4732> の月次オークションデータは中古自動車の状況そのものである。
USSの2022年6月オークションでは、成約台数が6%増の約161,000台、成約単価は26%高の約107万9,000円だった。平均落札価格は2022年2月に統計を開始した1999年4月以降で初めて100万円を超え、6月には過去最高価格を更新した。
中古車高騰の主因は新車の供給不足
コロナ禍の2020年、世界の自動車メーカーや部品メーカーは業績の悪化を防ぐため工場を一時止めるなど大幅な減産に動いた。
その後、自動車需要は急回復したが、半導体不足やサプライチェーンの悪化で自動車生産台数はコロナ前まで復活できていない。むしろ、多くの自動車工場や部品メーカーを抱える中国でコロナ感染拡大によるロックダウンが実施されており、供給不足は解消されていない。
トヨタは2022年8月の世界生産台数を年初計画から約15万台引き下げ、70万台へ減産を決定した。トヨタの連結ベースの販売台数は、2021年3月期の15%減の約765万台から2022年3月期には8%増の823万台と増えたが、2020年3月期の896万台を大きく下回っている。
2023年3月期は8%増の885万台を計画しているが、現状では下回る可能性が高そうだ。人気車種の納期が長期化しており、短納期の中古車人気が高まる状況は続きそうだ。
円安とクラシックカーのリメイクも高騰要因
日本の中古車オークションには海外の中古車販売業者も参加する。海外勢にとって、円安が進んだことで日本車は現地通貨建てで大きく割安になっている。これも中古車価格を押し上げる要因だ。
また、昭和の名車のようなクラシックカーをリメイクするのがブームとなっている。米国でも日本のビンテージカーに対する需要は高い。昔のフェアレディ、スカイラインGTR、RX-7などが高価格で落札されていることも平均価格上昇要因だ。
ガリバーを運営するIDOM、オークションのUSSが過去最高益
中古車特需で株式市場も中古車関連が盛り上がっている。オークション最大手で注目されるのが前述のUSSだ。2022年3月期決算は売上高9%増の814億円、営業利益15%増の415億円と過去最高だった。2023年3月期も売上高3%増の841億円、営業利益4%増の431億円と2期連続の増収益で過去最高を更新する予想だ。
株価は6月のオークションデータが伝わり人気化、7月25日には2,660円と過去最高値を更新。7月27日の引け値は2,600円と昨年末比で45%も上昇している人気銘柄だ。
中古車販売最大手で、ガリバーを運営するIDOM <7599> にも注目だ。2022年2月期決算は売上高が21%増の4,595億円、営業利益は75%増の184億円でともに過去最高を更新した。2023年2月期は売上高20%減の3,668億円、営業利益16%減の155億円と減収減益を見込んでいるが、保守的予想との見方が多い。
三菱UFJモルガンスタンレー証券は7月19日、IDOMの格付け「BUY」を継続し、目標株価を1,500円から1,600円に引き上げた。2023年2月期営業利益予想を155億円から165億円へ上方修正している。
株価は中古車好調で2021年9月に1,090円の過去最高値を付けた。今期減益予想ということもあり、7月27日には783円まで調整している。それでも昨年末来の上昇率は5%高。業績の上方修正次第では注目度が上がりそうだ。
注目される中古車業界ではあるが、新車の減産が終われば端境期に向かう可能性もあることには注意しておくべきだろう。
文/編集・dメニューマネー編集部
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