副業の所得は「事業所得」になる場合と「雑所得」になる場合があり、同じ収入でも税額が変わります。これまで副業の収入の区分はあいまいで、多くの人は税制上のメリットを受けられる「事業所得」として申告していましたが、この区別を明確にする動きがあり、もしかしたら副業のメリットがなくなってしまうかもしれません。
事業所得が雑所得より有利な理由は節税メリットにあり
副業の収入を「事業所得」にする最大のメリットは、副業と本業の収入を損益通算できることです。副業が赤字なら税金の還付を受けられます。
さらに、条件を満たせば青色申告制度を利用できます。青色申告にはさまざまな特典があり、青色申告特別控除や損失を翌年以降に繰越したり、前年に繰り戻して所得税の還付を受けられたりします。
一方、「雑所得」として申告すれば、これらの税制上のメリットを受けられません。そのため、同じ収入であっても雑所得になると税額が高くなる可能性があるのです。
副業の収入が「事業所得」として認められる条件は?
副業のメリットがなくなるかもしれないのは、副業を次の2つの条件を満たなければ、副業による収入は雑所得とみなされることになるかもしれないからです。
① その所得が主たる所得ではない
② その所得が収入金額300万円を超えない
これは国税庁が8月末まで広く意見を募集しているパブリックコメントの過程で明らかになったものです。所得税基本通達の改正案を見ると、この改正が実現すると、副業の収入が25万円未満(年300万円未満)だとメリットがなくなります。
人気の副業が変わるかも?
そうなると、人気の副業が変わるかもしれません。雑所得ではなく、事業所得として税金を申告するには収入額で300万円を超えればなりませんが、ここでポイントになるのは「利益」ではなく「収入」という点です。
つまり、利益が少なくても、売上額を稼ぎやすい副業が人気になる可能性があるのです。たとえば「せどり」などが考えられます。
一方、Webライターなど大きな売り上げを計上できない副業は、事業所得にするのが難しくなりそうです。
今後、副業の人気が決めるのは「年間で300万円の売り上げを計上できるかどうか」になるかもしれません。
文・高村阿木夫(現役銀行員のマネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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