前回は、昨年注目されたビッグヒットの上場と、韓国株の指数が「東学アリ」と呼ばれる個人投資家の支えもあって過去最高の水準にあることを紹介した。今回は韓国株式市場の概況と、代表的な銘柄について見ていこう。
韓国経済の規模はどのくらい?
韓国株投資を考える前に、韓国の経済規模と、株式市場の概要について確認しよう。
韓国は人口が5000万人程度だから日本のおよそ半分。平均世帯年収は韓国533万円で、日本の551万円とほぼ同じだ。
2020年の名目国内総生産(GDP)は1兆6240億ドルで世界10位。すぐ下の11位はロシアだ。一人当たりGDP(推計値)は3万1246ドル(IMFデータ)で、世界191カ国・地域のうち31位。東アジアではシンガポール、日本に次いで第3位に位置している。
韓国株式市場の概要・仕組み 上場社数は約2300社
次に韓国の株式市場の概況を確認しよう。
韓国には証券取引所として、日本の東京証券取引所にあたる「韓国取引所」(KRX)がある。上場企業数は2322社、時価総額は199兆3830億円だ(2020年11月末現在)。
他の国と規模で比べてみると、インドの国立証券取引所が上場数1943社で199兆6972億円なのでほぼ同じくらい。日本・東証の上場企業数は3770社で、時価総額は748兆4885億円だ(1部、2部、マザーズ、JADAQ、プロマーケットの合計)。
なおアメリカは、ニューヨーク証券取引所(NYSE)が2834社、2240兆3455億円、ナスダックは2886社上場、1873兆2941億円。米国市場の大きさが分かる。
HYBE、JYP、YG、SMはベンチャーの多いKOSDAQ銘柄
韓国はKRXに4つの市場があり、そのうち株取引が行われるのが、「有価証券市場」(KOSPI)と「コスダック市場」(KOSDAQ)、「コネックス市場」(KONEX)だ(もう一つは「デリバティブ市場」)。
株取引が行われる3市場のうち、外国企業が上場できるのがKOSPIとKOSDAQ。韓国の中小企業が上場しているのがKONEXだ。名前から想像できるとおり、KOSDAQはアメリカのNASDAQにならってつくられており、中小・ベンチャーが多い。
なおHYBEやJYP、SM、YGはいずれもKOSDAQ上場銘柄だ。韓国には財閥系の大手企業が多いことは有名だが、そうした大企業が上場しているのはメインの市場であるKOSPIだ。
代表的な韓国芸能事務所
最後に韓国の代表的な芸能事務所をあらためて確認しておこう。
日本では芸能事務所で上場しているところはあまりない。狭義の芸能事務所とは言えないかもしれないが、芸能関係企業を挙げるとすれば、松竹 <9601> 、東宝 <9602> 、アミューズ <4301> 、エイベックス <7860> くらいだろうか。吉本興業ホールディングスやホリプロは以前上場していたが現在は非上場。ジャニーズ事務所やオスカープロモーション、研音などはすべて上場していない。
韓国の芸能事務所は日本のそれと似て非なる存在だ。日本で芸能事務所というとアーティスト・タレントのマネジメントをする会社というイメージだろう。実際、楽曲のリリースは別のレコード会社が担当するなど分業している。その点、韓国の場合は芸能事務所がワンストップで行っている。
代表的な事務所は次の表の通りだが、HYBEをはじめ、JYP関係者によって設立された新しい事務所が複数存在する点は興味深い。
社名 | コード | 主な所属アーティスト・事業内容や特徴 |
---|---|---|
JYPエンターテインメント | 35900 | パク・ジニョン、2PM、TWICE、ITZY、NiziUほか |
SMエンタテインメント | 41510 | 少女時代、東方神起、BoAほか |
キーイースト | 54780 | ペ・ヨンジュンらが出資、SMエンタが主要株主。 |
YGエンターテインメント | 122870 | BigBang、2NE1、SE7ENほか |
FNCエンターテインメント | 173940 | FTISLAND、CNBLUE、AOAほか |
CUBEエンターテインメント | 182360 | 元JYPの代表が設立。BTB、(G)I-DLE、LIGHTSUMほか |
HYBE | 352820 | JYP所属の作曲家が独立して設立。BTS、TOMORROW X TOGETHER、GFRIENDなど。 |
韓国株が買える証券会社は?
実は韓国株が買える証券会社は決して多くない。日本では、SBI証券、アイザワ証券、岡三証券くらいのようだ。取扱銘柄数が多いのはアイザワ証券だが、手数料が安いのはSBI証券だ。
注意点は手数料が高めなこと
注意が必要なのは、全般的に手数料が日本や米国の株式投資より高いことが多い点だろう。
たとえばSBI証券は、米国株の手数料が約定代金の0.45%(税込0.495%)。最低手数料が0ドル、上限手数料は20ドル(税込22ドル)なのに対し、韓国株の場合は約定代金の0.9%(税込0.99%)、最低手数料は9,000ウォン(税込9,900ウォン)にもなる点だ。
なお韓国株投資では、ETFもあり、日本の証券会社からも投資できる。たいていの証券会社では、取扱銘柄一覧のページがあるので、証券会社に口座を持っている人は、確認してみるといいだろう。
ハングルや韓国文化を学ぶだけでなく……
K-POPグループのファンになったことがきっかけで、ハングルや韓国文化を学んでいる人は少なくないはずだ。投資・資産運用も必須の時代。せっかくだからK-POP好きになったことをきっかけにして、韓国株投資にも関心を持ってみてはいかがだろう。事務所の株を買うことは、個人投資家なりの“推しの形”といえるかもしれない。
※ 本記事は特定の銘柄を推奨するものではありませんが、今回取り上げた銘柄の中に、筆者が記事執筆時点で保有する銘柄(銘柄あたりの保有数は1単位のみ)が含まれます。投資は自己責任でお願いします。
文/編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)
画像・© Warner Music Japan Inc./ © JYP ENTERTAINMENT Co., Ltd. All rights reserved.
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