20代になると、生命保険(ここでは「保険」と略します)を勧誘される機会が増えるでしょう。「正直よく分からないけどとりあえず入るか」という人もいるかもしれません。
しかし、保険はマイホームに次いで、人生で2番目に大きな買い物という意見もありますから、よく考えて加入したほうが良いでしょう。
今回は20代の人に向けて、必要な保険と不要な保険について考察していきます。
なお前提として、独身で支えるべき家族(子ども、収入のない配偶者、親など)がいない人を想定しています。
保険が不要な人とは?
保険の歴史は古く、古代オリエント時代にまで遡るという説もあります。この時代の交易は決して安全なものではなく、自然災害や海賊に襲われる危険性もありました。こういったリスクに備えるための仕組みが「保険の起源」と言われています。
長い歴史が示す通り、保険は上手に活用すれば非常に有用な金融商品です。しかし、なかには「そもそも保険が不要」という人もいます。具体的には、
・既に十分な資産を保有している人
・親(親族)に十分な資産があり、援助を受けられる人
が挙げられます。
保険は、大きな資金が必要になってしまう万が一に備えて、大勢の人がお互いのために助け合う「相互扶助」の金融商品です。したがって、「万が一」が起こったときも問題なく対応できる資産がある人は、そもそも保険に加入する必要がありません(ただし、このような人は、相続対策で保険を必要とする可能性はあります)。
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20代が加入する必要がない保険
しかし多くの20代は、これに当てはまることはないでしょう。ここからは、20代が加入する必要がない保険について考察します。
保障が大きすぎる死亡保険
支えるべき家族がいない場合は、保障が大きすぎる死亡保険は不要でしょう。縁起でもないですが、自分が突然死亡しても、経済的には誰も困らないためです。お葬式代を親などに払わせるのが心苦しい場合は、お葬式代くらいの保障をしておけば良いでしょう。
資産運用、資産形成を謳う保険
本来の保険の役割(万が一への備え)以上に、資産運用や資産形成をアピールする保険にも要注意です。具体的には、株式や債券を中心に資産を運用し、運用の実績によって保険金や解約返戻金が増減する「変額保険」や「変額個人年金保険」が挙げられます。
セールストークで、「この保険は米ドルで積み立てていき、〜〜に投資し、○%で運用していくので、△年後には□%増えていますよ」と言われたことがある人もいるでしょう。保障を受けながら運用できるのは、一見お得のように感じますが、実は非生産的であるケースが多いです。
すべての運用型の保険がそうだとは言いませんが、それであれば、自分でその投資先である「〜〜」にETFなどで積立投資して、同じような保障内容を得られる安い掛け捨て保険に入ったほうが、経済的合理性が高いことが多いでしょう。
20代が加入を検討したい保険
ここからは、20代が加入を検討したい保険について考察します。
シンプルな掛け捨て型
既に述べましたが、貯蓄や運用にこだわらず、シンプルな掛け捨て保険に加入すると良いでしょう。保険の最大の意義は「手元資金がない人でも、大きな資金が必要になる万が一に備えることができる」ことです。
医療保険にしても、死亡保険にしても、できるだけシンプルな掛け捨て型にすると、保険料を安く抑えることができます。貯蓄や運用がしたければ、保険とは別に、自分で貯蓄や運用することをおすすめします。
就業不能保険
病気やケガで働けない状態(就業不能状態)が長く続いた場合の収入減少に備える保険です。一般的に大病の発症リスクは若いほうが低いですが、保険は「不可逆性の商品」(病気になってからは入れない)ですので、一考の価値はあるでしょう。
人間関係を理由として保険に加入する場合もある
誰にでも「万が一」が起こるリスクはありますが、確率論で言えば、慌てて入る必要はなく、じっくりと検討すると良いでしょう。
経済的合理性の観点では、できるだけシンプルな掛け捨て型にすること、貯蓄や運用は別に行うことをおすすめします。
ただなかには「知り合いが保険営業員になったので、加入することで応援してあげたい」という人もいるはずです。人間関係を理由とした保険加入は否定しませんが、それでも保障内容や保険料の妥当性はしっかり吟味すると良いでしょう。
文・菅野陽平(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
画像・naka / stock.adobe.com
(2021年5月11日公開記事)
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