連載「逆張り」常識の反対を行って勝った人たち
ぎゃく—ばり【逆張り】(取引用語)相場の人気のよいときに売り、悪いときに買うこと。(広辞苑第7版)。←→順張り。
他人と同じことをしていては大勝ちできないのは、投資でもビジネスでも同じ。だが言うは易く行うは難しというように、人と同じことなら安心してできても、人と違うことをするのは簡単ではない。しかし時代やトレンド、環境に左右されずに自らの道を突き進み、周囲から見れば“逆張り”をして大成功した投資家や起業家、発明家は多数いる。この連載では、そうした周りに流されずに、周りと異なる道を進んで成功につながった様々な事例を紹介する。
第3回 甘いキムチ、歩きづらい靴──逆張りの発想で生まれたヒット商品
「逆張り」と言えば投資を思い浮かべる人も多いかもしれない。しかし逆張りには「流行や常識に逆らう」といった意味もあり、逆張りの発想で生まれたヒット商品は少なくない。甘いキムチ、歩きづらい靴、胸を小さく見せるブラ……といった具合だ。
逆張り商品1 「キムチは辛い」という常識を打ち破る──甘いキムチ
キムチは韓国を代表する辛い漬物だ。キムチといえば、日本で並ぶものは辛さをウリにしたものばかりだったが、「キムチは辛い」という常識を打ち破ったヒット商品がある。
それが2009年に登場した甘いキムチ「ご飯がススム」だ。
開発した漬物メーカーのピックルスコーポレーションは、若い女性や子供たちにも好まれるキムチを模索する過程で、「辛い」という既成概念から脱却することを思いついた。そして甘みや旨みを日本人の舌に合うよう調整したという。
ご飯がススムの大ヒットにより、漬物業界で一際高い存在感を有するようになったピックルスコーポレーション。いまやご飯がススムの商品ラインアップは20種類に上り、甘さがウリのキムチ鍋つゆパックなども販売している。
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逆張り商品2 健康ブームの中、高カロリー・高糖質・高資質──悪魔のおにぎり
世は健康ブームで、食品も低カロリー、低糖質の商品に人気が集まりやすい。そんな中、この時代としては異例とも言える高カロリー・高糖質・高脂質のある商品が大ヒットした。
それはローソンが2018年10月に発売した「悪魔のおにぎり」だ。
天かすと天つゆを使い、健康ブームに逆行した商品であるにも関わらず、なんと発売から13日で260万個以上も売れたという。
現在はすでに販売されていないようだが、発売再開を望む声は少なくない。人々のうちにある欲求を掘り起こしたヒット商品だったと言えよう。
逆張り商品3 リーボックが火付け役、あえて靴底を不安定に──歩きづらい靴
「トーニングシューズ」をご存じだろうか。簡潔に説明すれば、あえて靴底を不安定な形にすることで、歩いたときに筋力アップの効果が期待される靴のことを指す。このトーニングシューズの火付け役となった商品がある。リーボックの「イージートーン」(EASYTONE)だ。
従来、靴というのは購入したさまざまな人の足にフィットしやすいようデザインされている。リーボックがそれまで販売してきたシューズももちろん例外ではない。
そんな中、リーボックは「歩きづらい靴」とも言えるトーニングシューズの商品を開発して多額の広告費を投入し、アメリカで一大ブームを巻き起こし、そのブームは日本にも広がった。現在は以前ほどの人気はないが、多くの靴メーカーがラインナップを用意している。
逆張り商品4 ブラジャー業界の常識を覆したワコール──小さく見せるブラ
ブラジャー業界では長らく、胸を大きく見せる商品の人気が高かった。そんな中、大きな胸を小さく見せるブラジャーを開発したのが日本のワコールだ。まさに逆張りの発想で生まれた商品と言える。
発売開始直後から人気を集め、2010年4月から2019年5月までの累計で販売40万枚を達成している。ワコールの公式サイトによれば、開発のきっかけは「大きな胸だからこそ太って見える」「シャツのボタンの隙間が気になる……」といった女性からの声だったという。
流行や常識を疑う視点を持ってみては?
ちょっとした発想の転換が、ヒット商品を生むこともある。この記事で紹介した逆張り商品のように。そしてこうした逆張りの発想は仕事などでも役立つことがあるはずだ。流行や常識を疑う視点が、あなたの未来を明るくするかもしれない。
文・岡本一道(経済ジャーナリスト)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)
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(2021年5月14日公開記事)