「マルちゃん」で有名な即席麺大手、東洋水産の株価が堅調だ。コロナ特需を上回る需要増を受け、同社の株価は3年ぶりの高値まで買われている。海外で爆売れしている「マルちゃん人気」の理由に迫ろう。
株価はコロナ特需で沸いた2020年の過去最高値に迫る
東洋水産 <2875> の株価は6月7日、年初来高値6455円を付けた。年初からの上昇率は24%に達している。2023年3月期は、売上高21%増の4357億円、営業利益36%増の403億円となり、売上高、利益ともに過去最高を更新する好決算だった。
市場が注目したのは、2024年3月期の強気の見通しである。売上は7%増の4660億円、営業利益は24%増の500億円と大幅増益予想だ。
即席麺市場にはコロナ禍で特需が発生した。世界的な行動制限で外食市場は打撃を受けたが、家で過ごす時間が増え、内食市場は伸びた。株価は2020年7月に6580円の過去最高値をつけたことがその象徴だった。
今回の決算を受け、株価は過去最高値に迫る勢いを見せている。
海外でマルちゃんが爆売れ
足元、好業績を牽引しているのは海外だ。コロナ後でも即席麺市場は特需一巡とはならず、海外でのラーメン人気はむしろ加速している。株価は3年ぶりに過去最高値を狙える位置まで上げてきた。
健康志向から和食市場の拡大が続き、ラーメン人気も高まっている。また、世界的なインフレによる節約志向の高まりも即席麺市場の拡大には追い風となる。
2023年3月期の売上高を見ると、海外即席麺事業は56%増の1784億円と大幅に伸びた。2022年4月と10月に値上げを行った米国・メキシコでは顧客離れはみられず数量を順調に伸ばしている。
国内即席麺事業は2%増の976億円。海外即席麺は国内の1.8倍程度に拡大した。営業利益でも海外即席麺は2.6倍の261億円、国内即席麺は原材料高が厳しく38%減の67億円。海外ラーメンは売上でも利益でも東洋水産の稼ぎ頭だ。
ライバル・日清食品を上回る好調ぶり
ライバルで即席麺最大手の日清食品ホールディングス<2897>と比較してみよう。
日清食品はカップヌードルで世界の即席麺市場を開拓したガリバーだ。カップヌードル以外でも「ラ王」「チキンラーメン」「UFO」などの強いブランドを持っている。
日清食品の2023年3月期の売上は18%増の6692億円、営業利益は19%増の556億円だった。同社の2023年3月期の即席麺事業は、国内売上高が5%増の2607億円、海外売上高が44%増の2430億円。
一方の東洋水産は、国内売上高が2%増の976億円、海外売上高が56%増の1784億円をつけている。国内では日清の存在感はまだまだ大きいが、海外市場ではガリバーに迫る勢いだ。
今期の海外も71%増と大幅続伸を見込む
東洋水産の2024年3月期は、売上は7%増の4660億円、営業利益は24%増の500億円と大幅増収増益を見込む。今期も牽引するのは海外即席麺で、売上高では12%増(1995億円)、営業利益では27%増(332億円)を見込んでいる。国内は売上2%増(1000億円)、営業利益19%増(80億円)の見込みである。
継続する需要に対応し、量販店の特売確保と高価格帯商品である「Yakisoba」「Bowl」「GOLD」のマーケティング強化を計画している。米国での「マルちゃん人気」はまだまだ続きそうだ。
文/編集・dメニューマネー編集部
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