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鳥貴族、業績好調で株価10%高 これからの一段高には何が必要?

2023/06/20 07:00

6月9日に業績の上方修正を発表した鳥貴族の株価は、翌12日に10%高と急騰し、5年ぶりの高値2726円をつけた。過去最高値は2017年の3985円。かつて鳥貴族は安さと味の良さから急成長し、株式市場でも人気銘柄だった。「トリキ」人気は戻るのか? 帰ってきたトリキ人気 コロナ前の業績水準にほぼ戻る 鳥貴族ホールディング

6月9日に業績の上方修正を発表した鳥貴族の株価は、翌12日に10%高と急騰し、5年ぶりの高値2726円をつけた。過去最高値は2017年の3985円。かつて鳥貴族は安さと味の良さから急成長し、株式市場でも人気銘柄だった。「トリキ」人気は戻るのか?

帰ってきたトリキ人気 コロナ前の業績水準にほぼ戻る

鳥貴族ホールディングス <3193> が6月9日に発表した2023年7月期第3四半期決算(2022年8月〜2023年4月)は、売り上げが82%増の241億円、営業利益が前期の25億円の赤字から8億円の黒字に転換した。

足元の好調を受けて、通期の業績予想を上方修正。売り上げを317億円から330億円に13億円、営業利益を8億円から12億円に4億円上乗せした。売り上げ330億円は、コロナ前の過去最高だった2019年7月期の92%の水準だ。

上方修正を好感して翌12日の株価は10%高と急騰、株価は5連騰で15日には2767円の高値をつけた。コロナ前の2018年6月以来5年ぶりの高値。昨年末来の上昇率は3割に達した。

既存店の売り上げが7割増

鳥貴族の人気が復活してきているのは、月次動向でも明らかだ。既存店売り上げは第3四半期までの9ヵ月で71%増だ。コロナ禍から回復しつつあった2022年7月期の31%増から加速してきている。

足元では、3月が68%増、4月が29%増、5月が24%増と伸びは鈍化してきてはいるが、高い伸びを継続している。5月の既存店売り上げはコロナ前の2019年5月の売り上げを超えてきた。

鳥貴族はドリンクを含めた全商品同一価格(現在税込み360円)で、旨くて大きいのに安くて明朗会計が話題となり急成長した焼き鳥チェーン店だ。

2014年7月に上場、知名度向上と積極出店もあって、上場時2014年7月期の売り上げ146億円が2019年7月期の過去最高の売り上げ358億円まで、5年で2.5倍の急成長だった。株価はIPO時の1029円が2017年12月には3965円まで上げた。

やきとり大吉のM&Aで積極拡大路線へ

急成長時の鳥貴族の積極経営が戻ってきた。2022年9月に「やきとり大吉」を運営するダイキチシステムの全株を、サントリーホールディングスから取得し子会社化した。2023年1月から「やきとり大吉」515店舗の売り上げが鳥貴族ホールディングスの売り上げに加わり始めた。

また、「鳥貴族」の新規出店については、2022年10月に福岡にオープン、この出店を皮切りに得意とする関東・東海・関西以外の新たなエリアへの出店を強化している。

2023年2月には、岡山、沖縄、3月には、広島、4月には北海道に出店した。7月末の店舗数は大吉も含めて1136店舗(純増514店舗)となった。

過去最高益、過去最高値の材料は?

鳥貴族の業績が過去最高を更新し、株価も過去最高値をつけるためには、今後どんな材料が必要だろう。

一つには海外の拡大が挙げられる。寿司もラーメンも日本の外食業界は海外に成長を求めている。焼き鳥は外国人にも人気が高いため有望な市場だ。鳥貴族も2019年にロサンゼルス出店を目指したが、コロナの影響で延期していた。4月に「TORIKIZOKU USA」を設立し、改めて米国へ展開する。この評判次第では株高になりうる。

もう一つは、値上げの浸透だ。外食業界を悩ませているのが原材料、原燃料高によるコスト高である。現在のインフレ環境下では値上げをせざるを得ない。

鳥貴族での全品均一価格を2022年4月に全品327円を350円に値上げした。さらに、5月1日から360円へ10円引き上げた。

月次動向を見る限りは昨年4月の値上げは十分受け入れられているだろう。5月の値上げの影響も今のところでていない。原燃料高もやや落ち着きつつある。

原燃料高を吸収して過去最高収益を出せるなら、株価過去最高値更新の可能性が出て来るだろう。

文/編集・dメニューマネー編集部

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